ある操縦士のすれ違い通信
宇宙を漂うひとかけらの言葉。
なあ
誰かに この声は
聞こえているのだろうか
俺は 今
どこにいるのか 分からない
操縦している ロボットは
ボロボロで
復旧プログラムを 起動したが
果たして もう一度 動くか どうか
それよりも
俺が 動けるか どうか
はあ
静か だ
なあ
誰かに まだ この声は
聞こえているのだろうか
俺の 星は
水と緑 が 豊かで
きれいな 星だ
星 だった
ああ
戦争は 熾烈を 極め
仲間は 次々に 倒れ
俺も 追い詰められ
そして 遂に
星は 壊れた
星が 壊れた 衝撃で
宇宙が 歪み 流れ
生じた 渦に 捲き込まれた 俺は
気が付いたら ここに いた
きみは
無事に 脱出できた だろうか
俺は 最前線に いたから
きみを 見送ることは できなかった
きみは
星の 希望 だから
皆の 光 だから
ああ
だから 俺は
死なないで と きみが
涙してくれた
それだけで 十分だ
ただ
誰かに 聞こえて
ほしかったんだ
願わくば
願わくば どうか
きみが あいつと
平和な 世界で
幸せに
生きていけますように
聞こえてなくても、声にしたい事ってあるよね。