王都へ
しばらくして彼女が帰ってきた。
左腕には、何やら布がかかっていて、右手には革靴のくるぶしまでのブーツを持っていた。
「お待たせ致しました。素敵な服ですが、王都では怪しまれることがあるといけませんので、よろしかったらこちらをお召し下さい。サイズが合うと良いのですが…。」と言った。
ピラッと見せてくれた服は、彼女の着ていた服とは別の色だった。彼女は淡いライトグリーン、そして手に持っている服は薄いピンクだった。
可愛い…。ヒラヒラはちょっと恥ずかしいけど…ね。
「可愛いですね、ありがとうございます。さっそく着てみます。」
と話し彼女から服と靴を貰うと
「カウンター奥にあるお手洗いを使って下さい。」とカウンター奥を手で示してくれた。
私は、お手洗いに行って着替えた。少しゆとりがあったが、鏡で見てもさほど不自然じゃなかった、良かった。靴も大丈夫だし。この世界の人達に馴染めるかなぁ…。少し緊張しながらドアを開けて彼女のもとに戻る。
彼女はカウンターで、私が食べたスープのカップとスプーンを洗い終わってタオルで拭いていた最中だった。私を見つけると嬉しそうに
「わぁ、よくお似合いですよ!サイズはいかがでしたか?」と聞いて来た。
「服も靴も大丈夫でした、ありがとうございます!お借りしますね。お返しするのは遅くなりそうですが、大丈夫ですか?」と話すと
「とても似合っていますので、このまま貴女に差し上げますよ。他にも服や靴はありますから気にしないでください。その代わり、ご飯を食べに来てくださいね。」と言ってくれた。
「ええっ、良いんですか?本当にありがとうございます!必ず食べに行きますね!」と答えた。
それにしても、初対面で別の世界から来た人にスープをご馳走するだけでなく服と靴まであげちゃうなんて、どこまでも親切な人なんだろう。ありがたすぎる…泣 これは、ぜひ名前を聞きたい!
「あの、お名前を伺っても良いですか?私は、如月 さらと申します。」と言うと
「サラさんですね。私は喫茶店レ.ミミエデン店主 ラル.レホイン.ミーテルと申します。 どうぞミーテルとお呼び下さい。」と答えてくれた。
「ミーテルさん…。本当にありがとうございます!」
「ふふっ、いえいえお役に立ててとっても嬉しいです。さて、ここからお城までは一直線なので迷わないと思いますが、道中気を付けてくださいね。」とニコニコしながら彼女は言った。
素敵な彼女と一緒に外へ出る…。この店に入ってから1時間30分経った、現在時刻は12時30分。
天気は相変わらず良く、暖かい…。
別れを惜しみながら、次に会う約束を交わして私は王都へ歩き出した。
喫茶店からしばらく歩くと大きな門が見えてきた…。石が垂直に並べられた壁に門があった。その門の両端に槍を持った兵士らしき人が立っていて、門は全開に開けていて門の中を行き交う人々で賑やかになっていた。
ついに、王都に来た…。興奮と不安を抱えながら、行き交う人々を観察してみた。私と似たようなワンピースを着た人もいれば、ドレスのように華やかな人もいる…。男の人は兵士もいれば旅人のように服の上にフード付きポンチョを羽織った人やまさに貴族らしい服を着た人など、本当に様々だった。
王都ってすごいなぁ…。私は一歩門の中に足を踏み入れた…。
続く