第八部「ダンジョン」
救いたいのよ。
萌葱色の変奏曲もよろすく。
第八部「ダンジョン」
勇者一行よりも先に魔王を倒すべく、旅に出た男僧侶のシュイロと女騎士のイト。
新たに戦士であるヤマガイを加え、隣の国を目指し始めたのだが……。
・・・・・・・・・
「薄暗い森だな!!」
「ああ。」
「オイオイ、テンション上げろよシュイロ!!」
「うるさい通り越してうざいな。」
「こんなところじゃあ、下級モンスターとか出そうだよな!」
「いや出るよ。」
「……え?」
「出るよ、ここ。薄暗い森だし。」
「……は?え?」
「いやだから、出るんだって。何?事前情報も無しに来たわけ?」
「嘘だろおいいい!!やだよ帰りたいよぉぉ!!」
「うわっ!?……いや、狼狽えすぎだろ……。」
「そういうお前らは何で平気なんだよー!!」
シュイロとイトは顔を見合わせた。
「俺たちは……。」
「…………。」
「俺たちはなあ……。」
「何度か仕事で戦ってる。」
「マジかよ!?俺だけ仲間外れ!?」
「ヤマガイは、この前まで伐採を職にしてたしな……。」
「でも大丈夫。」
「ああ。これから慣れていけば、すぐに俺たちみたいになる。」
キマッた。
そう思ったシュイロだった。
「ん?ごめん、聞いてなかった。」
「何で聞いてないんだよ。今良いこと言ったのに、恥ずかしいじゃねえか。」
「小さい事は気にすんな!まあ、モンスターが出たときに考えればいいだろ!行こうぜ!」
「真っ先に死ぬパターンだ、それ。」
・・・・・・・・・
さらに奥へと進む。
隣国へ進むシュイロたち。
この薄暗い森を避けて通れない事は無いが、時間がかかるうえにかなり遠回りである。
「モンスターを倒せる実力があれば、普通に通れる森なんだが。」
「シュイロ。」
「あ?どうした、イト。」
「下級モンスターが飛び出してきた。」
彼らの行く手を阻む水色のモンスター。
オムツひよこである。
体長40センチのオムツひよこは、オムツを履いた水色のひよこ……という認識で間違っていない。
「来たぞ!」
シュイロは僧侶である。
直ぐ様後衛に移った。
戦況の把握も大事な役割だ。
「イト、いけるか?」
「任せて。」
剣を構える、女騎士のイト。
鎧を身に纏う彼女は、勿論前衛だ。
「ヤマガイも前に出てみるか?」
「あ、あたぼうよ!」
「てやんでい!じゃあ前に出な!!」
乗ってしまった。
引かれた。
目が全てを物語っていた。
冷たい視線に、シュイロは……。
「いや別にいいだろ!?」
僧侶も世界を救いたいを読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
やっぱり初ダンジョンは森が多いよね。
それでは、またお会いしましょう。
Thank You。