第五部「道具屋」
のほほんとしています。
第五部「道具屋」
勇者一行よりも先に魔王を倒すべく、雲の国にて情報を集めていた男僧侶のシュイロと女騎士のイト。
隣国へ旅立つ準備にと、二人は道具屋へとやって来たのだった……。
・・・・・・・・・
「よし、早速道具屋にやって来たわけですけどもね。イトはよくこの店を利用してるんだよな?」
「うん。防具も売ってるから、よく試着してる。」
「……。試着?」
「試着。」
「買ったりは?」
「してない。」
「買わないのかよ、見ろよ店員のおじさんを。苦笑いじゃねえか。」
「試着がそんなに悪いことなんですか!?」
「何でキレてるんだよ……。」
「ちょっと着ていいってあっちから言ってきたんですー。私は『そう、じゃあ』って感じで別に私から頼んでるわけじゃないんですー。」
「分かった。分かったって。面倒くさい性格してんなお前。」
木製の道具屋、あまり広く見えないのは、ところどころに様々な道具がひしめきあっているからだろう。
木製の盾や鉄製の剣。
薬草や布袋が売ってあったりと、需要のあるお店だ。
「一先ず、隣国に行くための道具があれば十分だよな。」
「そう?回復なら、シュイロの治癒魔法がある。」
「……あっ、そっか。俺僧侶か。すっかり忘れてたよ……。」
「だからここは装備にお金をかけるべき。」
「イトがまともな事を……。戦闘にまつわるからだろうけど、明日は大雪でも降りそうだな……。」
「シュイロ、それは失礼。」
「あ、ああ。すまん。」
「土下座を所望する。」
「いや所望すんなよ。そこまでする必要無いだろ。」
「ある。」
「無い。」
「ある!!」
「無いって。キレるなよ。」
「私がどれだか傷ついてるか。分かるんですかー。」
「その言い方やめろ、さっき言わなかったけども。」
「やめませんー。シュイロが謝る……土下座するまでやめませんー。」
「面倒くせっ。やっぱお前の性格面倒くさいわ。女騎士なのに冒険に出れない理由がなんとなく分かったわ。」
「何。」
「性格。」
「……。」
「…………。」
突然黙るイト。
「おーい、イトー?」
「…………から……。」
「え?」
「わざとじゃないから……!」
「ちょっ、泣くなって!ほら、店員のおじさんも苦笑いしてるから!ね!?」
「私だって……私だって……!」
「お、おう。」
「試着してもいいじゃん!!」
「いやそこに戻るの!?」
僧侶も世界を救いたいを読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
……。まあ、始まったばかりだし中々読まれないのは仕方無いね。宣伝宣伝!
萌葱色の変奏曲……ギノヘンも宜しくね。
それでは、またお会いしましょう。
Thank You。