第四十三部「待機」
たたたったん。
第四十三部「待機」
武器の才能が無く、僧侶になったシュイロ。
彼は勇者よりも先に魔王を倒すべく、愚痴仲間であった女騎士イトとともに、魔王襲撃を待つのであった……。
「……さっ、そういうわけで待つことにしましたが……。」
「うん。でもまずは魔王について調べないと。」
「そうだな。」
「やっぱり好きな食べ物があるはず。」
「……は?何それ。」
「好きな食べ物。」
「いや、知ってどうするんだよ……。」
「それは……その……毒を仕込む……。」
「くだらなっ。どこの世界に『美味そうなリンゴだフッハッハッハッ……ぐあああ!?』みたいに死ぬマヌケな魔王がいるんだよ。」
「くだらないのは貴方のほう。やはり味方が裏切るのが理想。」
「それはだな……。」
「味方が。裏切る。」
「怖いこと言うなお前!?」
町を出て、二人草原で語らう。
「さて、どうしようか、イト。」
「リーダーのシュイロが決めていい。」
「そう言われてもな……。」
「何か困りごと?」
「まず魔王の居場所すら知らないし。」
「あーあ、勇者一行に手柄とられるー。」
「嫌みな言いかただな。」
「私の名誉がー。」
「いや名誉目的でやってたのかよ。せこいなオイ。」
「せこいって何。目的は必要、夢があるから輝いて見える。」
「開き直ってんじゃねえか。」
「それで、どうするの。」
「やっぱりほら……聞き込みだろ。」
「聞き込みなら任せて。」
「おっ、なんだよ。自信あるのか?」
「うっふん。私の美貌でみんなイチコロ。」
「殺しちゃダメだろ……。」
……一歩進んだと思いきや、足踏みしているだけではなかろうか。
「しかしまあ……。情報は必要なんだ。一度町に戻って話を聞いてみよう。いつもの酒場なら、何か分かるだろ。」
「おー。」
斯くして、シュイロとイトは町に舞い戻った。
結果、ふりだしに戻っただけだ。……多分。
僧侶も世界を救いたいを読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
変わってるよん。
それでは、また2日後。
Thank You。




