第十三部「負傷」
大変だ。
第十三部「負傷」
勇者一行よりも先に魔王を倒そうと、旅に出た男僧侶のシュイロと女騎士のイト、そして、戦士のヤマガイ。
隣国へすらも行けず、酒場で駄弁っていたところモンスターの襲撃に遭った三人だったが……。
・・・・・・・・・
「うわっ!?」
視界には見たことの無い風景。
水色の天井。
……天井?
「あれ?」
シュイロは上半身を起こした。
……っていうか、寝ていた?
「……。」
キョロキョロと辺りを見回す。
「……んー……?」
どこかで見たことある……けど、思い出せない。
台座のようなものを囲む水。
……まるで神殿だ。
「神殿だ。」
神殿だった。
「何故に?」
思い出せない……。
ここに来る前は……酒場に居て……イトとヤマガイと(オレンジジュースを)飲んでて……。
「っ!そうだっ、イト!どこだイト!」
神殿内に、シュイロの声がこだまする。
「どこだ……?ぐっ……。」
立とうとしたが、体中を痛みが襲った。
……ああ、そうか。思い出した。モンスターに襲われて重傷を負ったのだ。
神殿での治療は記憶の混濁を及ぼす。
重傷であればあるほど、その混濁は大きくなる。
「……ってことは、誰かが助けてくれたはずだが……。」
「ワシじゃよ。」
「うわっ!?」
後ろから話しかけられたため、驚いてしまった。
心臓に悪い。
「だ、誰だお前!?」
「ここの神官じゃ。起きたのなら帰れクソガキ。」
「……。」
「ああ、そうじゃ。治療費を払ってもらわなければな。」
「は?そんなのいるのか?」
「じゃあワシはどうやって生活すればよいのじゃ?」
「それは……。そうだな、すまん。」
「お主の仲間の分も頼む。」
「え?あいつらもいるのか!?」
「うむ。先に目覚めて出ていったがの。だからお主に金銭を要求しておるのじゃ。」
「あいつら……。」
そして……。
シュイロは一文無しになった。
「高っ……嘘だろ……!?」
僧侶も世界を救いたいを読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
意外と高いんだよ。
それでは、また2日後。
Thank You。




