第十二部「襲撃」
僧侶も酒場でごっくごく。
第十二部「襲撃」
勇者一行よりも先に魔王を倒すべく、旅に出た男僧侶のシュイロと女騎士のイトと戦士のヤマガイ。
三人は隣国へ行くことすらも出来ずに、いつもの酒場へと来ていた。
「ゴクッ……ゴクッ……ぷはぁ!!あああやっぱりオレンジジュースは美味いな!」
「おお!シュイロ、いい飲みっぷりだなぁ!俺もだ!!!」
「フッ……ヤマガイ。お前も惚れぼれする飲みっぷりだぜ。」
お酒ではない。
ここの酒場のイチオシはオレンジジュースなのだ。
「……。」
イトも黙って飲む。
口を離し息を吐くと、微少ながら笑みがこぼれた。
「イト。美味いか?」
「うん。変わらない美味しさ。」
「だよなー。」
「シュイロ!イトちゃん!俺にこんな良い店を紹介してくれてありがとう!!」
「いや、いいんだよ。」
「皆で飲むほうが楽しい。」
「くうぅぅ!イトちゃん大好きだぜ!」
「私は特に。」
「その冷たい態度も俺にはグッジョブさ!」
「……。そう。」
イトが困っていた。
珍しい。
「…………。何で和んでんの!?」
「え?」
「なんだよシュイロ。」
「いや何で和んでるんだよ!?隣国へすら行けてないんだぞ!?」
「おう。」
「危機感無さすぎだろ!!」
「大丈夫だって。そんな簡単に勇者に倒されてるようじゃ魔王失格だろ。」
「そりゃそうだが……。」
その時。
酒場にガシャンと破裂音が響いた。
「な、なんだ!?」
キョロキョロと辺りを見回す三人。
「シュイロ。あれ。」
イトが指差す先。
人間ではない何かが動いていた。
「モンスターだ……!イト、ヤマガイ!戦闘準備!」
「うん。」
「おう!!」
直ぐ様駆け寄り、各々構える。
シュイロは素手。
イトはジョッキ。
ヤマガイは椅子を抱えていた。
「……慌てすぎだろお前ら!!」
「……!!」
イトとヤマガイは衝撃を受けていた。
「オムツひよこだ。……大丈夫。慌てるな。」
水色の体をした、全長40センチほどのひよこだ。
「薄暗い森でも戦ったし、いつも通りいくぞ!」
「……。」
返事が無かった。
「イト!?ヤマガイ!?」
振り返ると、彼女たちは泡を吹いて倒れていた。
「メンタル弱すぎだろ!襲撃だとそうなるの!?」
「ピヒョー!!」
オムツひよこが襲いかかってきた。
「くっ……!」
間一髪、体当たりを転がって避けた。
「仕方無い……俺だけでも!」
シュイロは隙をみて、オムツひよこに拳をいれた。
ボギッ。
彼の拳の骨は折れてしまった。
「ーーー!!!!」
声にならない痛み。
シュイロは目の前が真っ暗になった。
僧侶も世界を救いたいを読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
……。
…………疲れるよー。
それでは、また2日後。
Thank You。




