1-3 交戦
白の使いのあの話から5日後の土曜日。俺は黒の呪いの組織と戦うために町をパトロールをしていた。黒の呪いは災いをもたらす。その情報から事件や事故がないかを確認していた。もちろん神影と神子もいっしょだ。すると、目の前で事件らしきことを見かけたという男性を見つけた。この先で人が倒れたという。急いで向かうと、1人黒のローブを纏った人物がいた。
「黒の呪いの組織のやつか?」
「お前は白の呪いを使うものか」
「お前が黒の呪いで災いをもたらしたんだな?」
「ふっふっふっ!そうだよ。この哀れな倒れ方。面白すぎだろ!あんたも知ってるんだろ?こいつの名前をっ!」
こいつの名前。倒れていたのは俺のクラスメイト、吹山徹だった。普段は静かにしているごく普通の男の子だ。
「なんで巻き込んだんだよ!徹は関係ないだろっ!哀れな倒れ方だって?その言葉取り消せ!」
「ならば勝負をしよう」
「ああ。挑むところだ!」
すると、黒のローブの男は丸い水晶のようなものを持ってこう叫んだ。
「開門」
その声を聞いたあとすぐに、前と同じように歪んだ空間が俺達を囲み、転移が始まった。また前と同じ「終わりを迎えた世界」に着いた。
「さあ、始めようぜ!お前達、アイルを倒したんだってな。あいつはもう戻ってこなかったから確信したさ」
この世界は0.1秒で勝負が決まる。そして、もうひとつ特徴があった。それは、この世界で負けたものはこの世界にずっと捕らわれる。そして、現実世界での存在が消える。そんな恐ろしい世界で命を賭けた戦いだ。
「始めるぞ!俺の名前は黒の呪いの組織の幹部、ガルシア・スレンダーだ。俺の能力は戦ってみればわかるさ」
「俺の名前は今枝龍だ。さあ。かかってこい!」
(神影、手はず通りに頼む)
(任せて!)
「憑依!」
すると神影がガルシアに憑依しようとした瞬間にガルシアも能力の名前を叫んだ。
「召喚!こい、歴代の武将達よ!」
すると、三人の武装した男性が現れた。
「我は織田信長なり。天下をとる男じゃ!」
「わしゃ徳川家康じゃ。おぉ信長殿、久しいのぉ」
「わしは豊臣秀吉じゃ。信長様にすべてを捧げた男じゃ!」
「我ら三大武将なり!」
三大武将だと!?これで3:4だ。戦況的には俺たちの不利か。でも、諦めない!
「神影!続けろ!元を倒せばこっちのもんだ!」
神影はガルシアに憑依した。神子は三大武将の精神を汚染させようと心に来る言葉を投げかけている。その間に10秒が立った。神子は既に1キロメートル以上離れている。ガルシアは憑依されてるので、動けない。神影は俺の攻撃どころか、どんな攻撃を受けてもダメージはない。だからお構いなしに攻撃ができる。俺は三大武将とガルシアの位置から全員に攻撃を与えることができると確信してから叫んだ。
「チャージブラストっ!」
「ぐはぁぁぁぁっ!」
叫び声が聞こえる。
「無念……」
三大武将も既に諦めたのか俯いている。そして、すごい威力でガルシアに当たり、三大武将、ガルシアともに蒸発した。勝ったのだ。
もとの世界に戻ると徹は目を覚ましていた。
「徹、もう大丈夫なのか?」
「ああ。大丈夫だけど、倒れる前の記憶がないんだ」
「何だって?」
黒の呪いで倒れた徹はそのときの記憶を失っていた。
「大丈夫ならいいか。気を付けて帰れよ!」
「お前もな!」
徹と別れを告げ、家路についた。
この先も同じようなことがあるのか。黒の呪いの組織と絡むことにより、何かと被害が出る。どうすればこれを押さえられるのか考えた。神に聞くしかないか。神に問いかけようとしたが、今日はもう疲労が溜まっている。今日聞くのはやめて、明日にしようと考えた。
次回予告
黒の呪いの組織との戦いで何かしらの被害が出ることを知った龍。神にそれを止めるために聞き、これからの戦いに備えていた。そのとき、次の相手が現れた。その戦闘に苦戦するなか、現れたのはあの人だった。