2-7 満月の夜
神子の覚醒によってオーディンを倒すことができた。神子の姿は完全に巫女だ。その神々しい姿から連想するに、天照大神のようだ。
「よくやりましたね。神子さん」
白の使いが突然俺たちの前に現れた。
「私、強くなれたんです!」
「よく見てましたよ。あのオーディンを破るとは龍さんもいい妹を手に入れましたね」
「あ、ありがとうございます」
俺は照れぎみにお礼を言うと、「終わりを迎えた世界」から帰還した。しかし、そこに広がるのはもっと酷く荒れた世界だった。やはりこの戦争の元凶を倒さないと終わらないのか。そう感じつつ、辺りを見回す。だが、神の姿が無い。すると、辺りが急に暗くなり、夜が訪れた。まだ時計は昼を指している。天候も急に晴れた。ハルルが俺達を見つけて急ぎ足で向かってきた。
「ハル、どうしたんだ?急いでいるようだけど」
「龍君、よく倒してくれました。だけど……。急に辺りが暗くなり夜のようになった、そして大きな満月が現れたのはあの神が来たからだと思うんです」
俺は夜空を見てみると、とても大きな満月だ。
「けど、それって単に今日が満月だからじゃないの?」
「それはないんです。今日は月が出てても半月のはずなんです」
そんな馬鹿な!?こ、こんなことを聞いたことがある。月の神が現れるのは満月の夜の時だけ。ま、まさか!
「ツ、ツクヨミが来るってことじゃ?」
「その通りです。そして、今までのゴッドウォーズで、一人の神を除いて全ての神を倒したとされる神です」
ひ、一人の神を除いて全ての神を倒しただと!?いきなりそいつが現れるのかよ!順番的にもおかしすぎるだろこりゃあ!けど、そんなこと愚痴ってたって、来るもんは来る。なら迎え撃つのみ!
「ツクヨミを倒してくる!行くぞ、神子、神影!」
「「おーけい!いつでも行けるわよ!」」
二人は声を揃えてそう答え、ツクヨミが現れるのを待った。どこからか金の音が聞こえる。
「き、来ました!」
ハルルが指を指した先にそいつは現れた。神話上では男性だが、見た目は女性で、頭上には天使の環のようなものがある。服装は赤と黒の色の着物のような姿だ。髪の色は赤髪だ。
「よし!やってくるか!」
「「「開門!」」」
三人同時に叫び、「終わりを迎えた世界」へと転移し、ツクヨミに勝負を挑んだ。どうせ分析しても分析不能だろうが一応……。
「分析!対象、ツクヨミ!」
そう叫んだとたん、ツクヨミが俺達の方を向いた。まさか、能力を感知したのか?
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」
俺の体に電撃が走る。いや、これは電撃じゃない!分析の能力で測れる限界値を越え、能力が暴走したのだ。俺の体は今、燃えている!
「だ、誰か!俺の体の炎を消してくれ!」
「や、やってるよ!けど、けど消せない!」
それもそうだ。俺の能力が暴走したのだ。魔力の炎が出ていると考えていい。
「魔法で消しても無理か……」
すると、ツクヨミが持っている7本の剣を俺に向かって振りかざした。炎が消えた。
「た、助かったぁ」
「か、勘違いしないでよ!た、助けた訳じゃないから!」
「「「て、照れてるぅぅぅぅぅ!?」」」
か、神様も照れるんだな。しかし、火が消えたとたん、ツクヨミの表情が変わった。
「お遊びはここまでよ!私の名前はツクヨミ!」
「知ってるぅ!月の神なんだよねぇ?」
「勝手に私の台詞を奪うんじゃねぇ!」
やべっ!怒らせちゃった。
「もうここまでいったら本気出すよ!私の7つの剣、人呼んで「七星剣」よ!この剣に負けた人なんてあいつしかいないんだからっ!」
「あ、あいつ?」
「教えるわけ無いでしょ!知られたら私のプライドが許さないわ!」
俺、こいつ苦手だ。あんまり関わりたくないなぁ。神影と神子を見てみると、膝だけでなく、からだ全体が震えている。
「龍君、逃げよ?」
「逃げるかよ!逃げたらこの世界が終わるぞ!」
「えー、もうこの世界どうなってもいいし」
「戦意喪失するなぁぁぁぁぁぁ!」
ツクヨミは暇そうに俺達の方をうかがっているが、目は本気だ。俺達を殺そうとしている。
「殺されるぞぉぉぉぉぉぉ!」
「死ぬのはもういやだぁぁぁ!だったら戦うっ!」
神影はやる気になった。神子もなんとかやる気だ。
「よし、行くぞ!」
俺は覚醒してチャージブラストの準備を、神影は魔法攻撃を神子は覚醒して精神破壊を行う準備をした。
「チャージ...ブラストッ!」
「Effect Spell Copy」
神影はなんとしてでもツクヨミの魔法を奪い取り、倒そうと考えている。
「月の神だからって、誰でも倒せると考えちゃダメだぞ!私の精神破壊で汚染してあげる!」
それぞれの能力がツクヨミに向かう。しかし、七星剣を振りかざしたとたん、俺達の攻撃が跳ね返った。俺達に全部向かってきた!
次回予告
ツクヨミの七星剣によって能力が跳ね返された能力が龍達を襲う。龍達はその攻撃を耐え、ツクヨミに勝てるのか。




