2-2 歴史
特訓を開始してから今日で1週間。俺はチャージブラストの攻撃範囲を半径1キロメートルから、半径3キロメートルにすることができた。神子は精神破壊の効果で体が蒸発するスピードが早まった。神影についてはまだ何も進捗がないらしい。憑依という能力を把握するのが難しいが故に能力アップのサポートすらできない状況にあるそうだ。
「今日は終わりにしましょう」
「ハル、今日もありがとう」
「ありがとう……ございました……」
神影は悲しそうにしている。自分だけが能力を強化できていないことを引きずっているようだ。
「神影、明日は休もう」
「え?でも……」
「能力の強化についてはそんなに深く考え込まなくてもいいって。俺だって今日やっとできたんだから」
「うん……」
俺の提案で明日、王都に行ってみることにした。
翌日、王都であるステルスに向かった。もちろん異世界なので、電車や車は存在しない。その代わりそれよりも速いものがある。「ドラゴン便」である。俺は昨日のうちにドラゴン便の予約をした。だが、あまり人気がないようで、すぐに予約ができた。なんか嫌な予感が・・・・・・。
「昨日予約した今枝龍です。今日はよろしくおねがいします」
「では、早速向かいましょう……と言いたいところですが、この同意書にサインをお願いします」
俺は同意書の内容を読まずにサインをした。これが仇となった。
「では、逝きますよ」
え、なんか漢字間違ってるような……。ドラゴンに取り付けられた、ゴンドラに乗り優雅な旅を始めようではないか……と、思った瞬間に体感速度ではマッハに近いスピードで飛び始めた。
「うひゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「どうです?乗り心地は」
「か、風は気持ちいいですね。ですけど、速すぎませんか?これ」
「これが当便自慢の高速移動ですよ。王都まででしたよね?もう真下にありますよ。では、降りますよ」
そう言うと、とてつもない速さで急降下を始めた。すごいほどにGを感じる。
「叫ばずにいられるかぁぁぁぁぁぁ!」
「着きましたよ王都。お疲れ様です」
「では、お金を……」
「どうぞ」
この世界の通貨は「ピルク」である。1ピルクあたり、日本円で10円程だ。俺はドラゴン使いに100ピルクを払い、王都の中心部へと向かった。
「ようこそ、王都ステルスへ」
「ど、どうも。ここの有名なところってどこですか?」
「この先にある王城ですよ。一般公開もしてますし、行ってみたらどうですか?」
「そうですね。行ってみます」
俺達は王城へと向かった。
王城、通称「神に一番近い神殿」。その名の通り、中には神に礼拝する神殿がある。壁画もたくさんあり、所々神と思わしき絵が、世界を救ったような絵が飾られていた。その絵を見ていくうちにこの世界の歴史について少しわかった気がした。
約2000年前、神々はこの世界の支配権を賭けて戦争を行っていた。ドラゴンを召喚し、森を破壊し、獣戦士を召喚し、先住民を絶滅させそうにした。そんな戦争は第一次ゴッドウォーズと後に呼ばれたらしい。この世界はゴッドウォーズによって幾度も改変されてきたらしく、この王城はその神が舞い降りた場所とされている。ちなみにこの戦争の終戦は一人の神によって戦争を行っていた神々を封印したことで、平和がもたらされたという。そして、その封印のは約500年に一度解かれるらしく、もうそろそろ第六次ゴッドウォーズが始まるとされている。そのためか、王城は静けさを増していると王城の警備員は言っていた。
すると、今の王政に反論しようと凶器を持って侵入した者が現れたとの情報が回ってきた。俺はその場所へと急いだ。すると、既に人質をとって
「早く王を呼べ!さもないとこいつを殺す!」
と叫んでいる。俺は犯人に向かってこう呟いた
「開門」
と。すぐに「終わりを迎えた世界」へと転移し、犯人はここはどこだと動揺を隠せないようだ。
「ここは闘技場。人読んで「終わりを迎えた世界」」
「終わりを迎えた……世界だと?」
「この世界では0.1秒で決着が着く。今すぐ降参するなら解放してやる。そして、王城の騎士に捕らえられみっちり反省しろ!」
「そうするわけには行かんな!お前ごとぶっ殺してやる!」
「言ったことがわからないようならこうするしかないか。お前はすぐに死ぬだろう。10秒だ。10秒だけ待ってやる。これがお前が死ぬまでのタイムリミットだ」
「な、なんだって!?し、死ぬのかよ。わ、悪かった!ゆ、許してくれ」
「いいだろう。強制転移!」
俺達は元の世界へと向かった。王城では急に現れた少年が犯人を何処かへと連れていったと話している。犯人はごめんなさいと言わんばかりにひょこんと座っている。
「早く来なさい!ご協力ありがとうございました」
一件落着。しかし、これから先俺は王に呼び出されるなんて思いもしなかった。
次回予告
急に現れ、犯人を捕まえたと噂で広がった龍の存在は王にまで広まり、王に呼ばれた龍達。王が要求することとは何か。




