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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第75話 解放と朗報




俺がネコの姿で、皇帝の弟を探して屋敷内をウロウロしているころ。

奴隷にさせられた日本人たち、男女10人があ然としている。


それは、夕食が終わりいつもの兵士がいなくなり部屋へ移動しようかという時

いきなり、周りの景色が変わり

目の前には、1人の女性が何か食べ物を食べる寸前だった。



お互いに声をかけづらい時間が過ぎている。

すると、どちらとも落ち着いたのか1人の奴隷の少女が恐る恐る声をかける。

「…あのさ、それって肉まん?」


その声に、奴隷の男女10人の視線が一斉に京花が食べようとしていた

手作り肉まんに集中した。

じっと見つめている奴隷の男女10人。


「…えっと、手作りだけど肉まんですよ?」

今度は、奴隷たちのゴクリと唾を飲み込む音が聞こえる。

どうやら、目の前の肉まんがよほどおいしそうに見えたのだろう。


京花は、少し考えて

「1人1個づつになるけど食べる?」

京花がした質問に、奴隷の男女10人は一斉に頷いた。




ケロ君の空間魔法で作ったこのマンションの食堂に10人が座れるテーブルが

あるはずもなく、何人かはリビングのソファに座ってもらっている。

「こういうソファ、久しぶりだ…」


確かあのソファは、ケロ君が日本にいたころある家具の量販店で

店員にめちゃくちゃ進められて購入したって、後で後悔したって言ってたな。

そのソファのレプリカではあるが、あの子にとっては日本を感じさせるのだろう。



少し時間をおいて蒸かしたケロ君手作りの肉まんを

奴隷のみんなに1個づつ配り、一斉に食べ始める。

食べ始めてすぐに、何人かの奴隷が泣きながら食べていた。


「日本に、帰りたい……」

と、誰かが呟いた。

京花は黙って、みんなが食べ終わるのを待ってから自己紹介をする。



「まずは、初めまして。

私は、元日本人の京花と言います。この世界では勇者をしていました」

京花の正体に、驚いていたが奴隷の男女10人も自己紹介をする。


「えっと、私はトシと言います。そして、私の隣からサトル、ユミナ、レンヤ

コウイチロウ、シンジ、ツカサ、サヤカ、ナナミ、マユカです」

京花は、全員の顔と名前を確認すると


「では、まずはその邪魔な首輪を外しましょうか?」

京花の言葉に、トシさんが代表者として答える。

「あの、首輪だけ外してもダメです。


この腕輪も一緒に外すことができないと…」

京花は笑顔で、

「わかっていますよ、その腕輪も込みで外すことができます」


10人全員の顔に笑みが戻った。

「では、お願いします!」

こうして、京花はその場にいる10人全員を奴隷から解放した。


解放されたトシさんたちは、喜びとともに今まで抑えられていた自分たちの

本来の力の解放もまた感じ取っていた。

「すごい、これが召喚者本来の力か…」


10人全員がそのことを再確認すると、京花は今後について話し合う。

「それで、今後はみんなどうしますか?」

トシさんたちは、その言葉に意味が分からなかった。


「…すみません、それはどういう意味ですか?」

京花は笑顔で答える。

「召喚術、特に勇者召喚については研究が進んでいて


召喚したまま返すことができない、つまり、

日本に帰ることができないということは、ないんですよ?」

トシさんは確認するように聞く。


「それって、日本に帰れるんですか?」

「勿論!」

少し間があって、10人は全員喜びを爆発させた。


大声で喜び、友達と抱き合いながら泣き、ただただ泣き、踊り出すものまでいる。

それほどみんな日本に帰りたかったのだ。

京花は、そんな10人を見ながら帝国で、皇帝の弟のもとで


とんでもない目にあっていたんだろうと、想像することしかできないが

これだけ喜んでくれるとは…


それにしても、これだけ大声で騒いでいるのに

ローネさんたちは与えられた部屋でくつろいでいるようだな。

ケロ君、どれだけ音響にこだわった部屋にしたんだろう…



ようやく落ち着きを取り戻したトシさんたちは、京花に騒いだことを謝ると

すぐに日本に返してほしいことを伝える。

「つまり、皆さんはすぐに日本へ帰りたいと?」


トシさんをはじめ全員が頷き

「もうこんな異世界は、来たくない!」

「早く日本に帰って家族に会いたい!」


京花は、少し考えてトシさんたちに提案する。

「皆さんを日本に送還するには、少し準備がいります。

その間、この世界を見てみませんか?」


トシさんたちが、訝しげに

「…それってどういう…」

「う~ん、そうですね、正直に言いましょう」


トシさんたちは、京花の言葉に注目する。

「私としては今すぐ帰ることはお勧めできません」

「…えっと?」


「皆さんは、自分自身の力を知らない。

実をいうと、異世界召喚された異世界人は召喚陣を通ることで力を与えられます。

それは、召喚された先ですぐに死なないようにした神様のやさしさ、


もしくは悪戯かな。


だから、そんな力の使い方や制御の仕方を知らないまま帰ると

地球で、日本でその力を暴走させて多大なる迷惑をかけることになります。

だから、ここはその力を制御できるまでこっちの世界に残ってほしいんです」


トシさんたちは、自分の両手を見ながら

「俺たちに、そんな力があるんですか?」

京花は、頷く。


「…俺たちで、相談していいですか?」








ここまで読んでくれてありがとう。


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