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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第73話 計画を阻止する




先ほどまで屋敷の中を我が物顔で歩き回っていた兵士や騎士は、

倒れた騎士を兵士たちが担いで、出て行った。


その屋敷の中を、今度はメイドさんが走り回っている。

キッチンへ走りこんできたこのメイドさんも、その一人だ。


「た、大変です! ローネ様が、き、消えてしまいました!」

その言葉を聞いた他のメイドとコックたちは、お互いを見て確認するように頷く。

「なら、用意しなさい! ローネ様が仰っていた通りに行動よ」


走りこんできたメイドは、キッチンのメイドに怒鳴られる。

「は、はい!」

そう返事をすると、再び走りこんできたメイドは走って出て行く。


「…ローネ様が仰っていた通り、俺たちは次の雇い主の所で身を隠せか…」

コックの溜息に、メイドの1人が

「そのことは、ローネ様と話し合ったでしょう?


私たち使用人の命と明日を守るために、ローネ様がわざわざ頭を下げて

頼み込んできてくれたんだから…」

もう1人のコックも溜息をもらす。


「それは理解しているんだけどな…なんか、ローネ様ばかりが苦労しているようで…」

メイドの1人が同意する。

「…幸せになってほしいですね、ローネ様には…」


そこへ最初のメイドが手を叩いて注目させる。

「ローネ様が作ってくれた時間よ、私たちが無駄にしてどうするの!」

その場にいた全員が苦笑いを浮かべて


「…行くか」

その場の全員が頷き、やがてキッチンには誰もいなくなった。


屋敷に勤める使用人が全員裏口に集まっていると、執事がやってくる。

「執事様、あの騎士相手によくご無事でしたね」

自分の荷物を背負っていたメイドが、執事の無事を喜ぶ。


「どうにかね、兵士に抑えられて少し拘束された程度で済みました。

それよりも、全員いますね? 忘れ物はありませんね?」

執事の心配に、みんな頷いて答える。


「では、ここで解散とします。

必ず皆さん生きてくださいね、ローネ様のためにも」

「「「はい!」」」


そして、その場にいた使用人たちは屋敷を後にする。

そして数日後、再び兵士や騎士が屋敷に乗り込んだ時

そこには誰一人としていなかった。




空間魔法で作ったマンション空間に、2人の女性が案内された。

ローネとフィーネだ。


2人は、いきなり変わった周りの景色に驚きと戸惑いを見せる。

「これは…」

キョロキョロと視線をあちこちに向けて、1人の女性と目が合う。


「ようこそ、あなたがローネ?」

自分の名前を呼ばれたことも気づかず、質問してしまう。

「ここは、どこですか?」


京花が自己紹介をしようとしたとき、隣の部屋から奴隷の2人が入ってくる。

「ローネ様! ご無事ですか?」

奴隷の2人は、ローネの無事な姿を見て泣き出した。


ローネは、泣き出した2人の奴隷の側に行くと

「お久しぶりですね、無事逃走できたようですね」

「ロ、ローネ、さま、わ、私たち、だけでは、ダメでした」



京花は、奴隷の2人をなだめているローネに自己紹介をする。

「あ~、初めましてローネ。 私は京花というものだ。

あんたのことはミュリア姫から頼まれて助けに来たんだよ」


ローネは、なつかしい名前を聞いた。

幼馴染のミュリアとは、もう何年も連絡を取っていない。

なのに、私のことを心配してくれていたということに涙が出そうだ。


「ありがとうございます、京花様。助けに来てくれたこと、うれしく思います。

それにミュリアが、私のことを忘れていなかったこともうれしい。

でも、今はこの帝国で大変なことが起こそうとしているのです」


京花は、笑顔で答える。

「皇帝暗殺のことだろう?

外でこの空間にあなた達を送り込んだものから聞いたよ」


ローネは、すくっと立ち上がると

「ならば、分かるはずです。これからこの帝国は荒れます。

皇帝暗殺を防いだとしても、皇帝派と皇帝の弟派が争うことになる…」


「でもね、私たちの目的も皇帝の弟の側にあるからね」

ローネは、疑うような視線を向ける。

「…皇帝の弟に、どんな用があると?」


「皇帝の弟に用はないよ。 私たちの目的は、その弟の側にいる奴隷の方だ」

ローネが少し考えると、フィーネが気付く。

「あ、グレーベルの知恵袋」


ローネも気が付いた。

「召喚されて奴隷となっている勇者たちですか」

京花は、奴隷の2人に近づきながら


「私たちの目的は、その奴隷たちの保護と奴隷解放だよ、こんなふうにね」

そういうと、京花は2人の奴隷の首輪に宝石のようなものを押し当てる。

すると、何かが割れる音がすると2人の首についていた首輪が


2人の足元に落ちた。

「……え?」

2人は自分の首を触り、奴隷の首輪が外れたことを確認してまた泣き出した。


今度はうれしくて2人、抱き合って喜んでいた。

「これは奴隷の首輪を外してしまう魔道具だよ、

これを使って、召喚者たちを奴隷から解放させようと思ってね」



再びローネが考え込む。

「…この魔道具で、召喚者たちが解放されればグレーベルの計画は阻止できるか…

しかし、こうなるとグレーベルの側に行かないと…」


奴隷から解放された2人は、フィーネが相手をしている。

ローネの邪魔はしないようだ。


「皇帝の弟の側に行くなら、ここにいて外の奴に指示を出そう」

京花は、あ然となっているローネをそのままにネコの俺に指示を出す。


皇帝の弟グレーベルの側に行って、召喚者たちの奴隷を解放させよう!と。








ここまで読んでくれてありがとう。


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