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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第66話 盗賊のお仕事




キュビール領、帝国との国境砦から2つ前の村へ向かう街道で

俺の乗る馬車は盗賊20人に襲われ、男たち以外盗賊にさらわれた。

男たちは、命が助かっただけでもとすぐに前の町へ走り


盗賊に襲われたことを報告、街道を兵士たちが捜索している。


そんな中、女たち5人と荷物や財宝を乗せた馬車は盗賊のアジトとなっている

廃墟の屋敷に入り、馬車の中身を出して確認していた。


「おめえら、財宝はいつもの部屋だ。

女たちは2階の一番端の部屋に監禁しておけ。

あそこなら、逃げられることもねぇ!」


「お、親分、お楽しみは?」

「…お楽しみは夜にとっとけ!それにもうすぐ本命に出した偵察が帰ってくるだろ」

そこに、1人の盗賊の手下が走ってくる。


「親分、偵察が帰って来やした」

「よし! おめぇら、もうひと仕事だ! 気合い入れろ!」

「「「へい!」」」


そうやって気合を入れなおすと、主な盗賊たちは親分について行った。

残った4人の盗賊は、馬車から荷物を出し倉庫へ。

そして、女たち5人の手を縛り屋敷の2階の端の部屋に連れていった。



部屋の中に女たち5人を入れると、盗賊たちはドアに鍵をかけ下の階へ降りて行く。

閉じ込められた女たちの中の1人、商人見習のクルセは

床にへたり込んでいる4人を無視して、鞄からナイフを取り出す。


「…あの盗賊たち、荷物検査もしないとはね」

ナイフで腕を縛っている縄を切ると、他の女性たちの縄も切っていく。

「諦めたら、そこで終わりだよ!」


縄を切りながら、みんなを励ましていく。

しかし、ショックが大きく女性たちは縄が切れると泣きだすものが出た。

「…泣いたって、助かるわけじゃないでしょ」


「じゃあ、どうすればいいのよ! 無駄なのよ、ここからは逃げれないの!」

「……私たちは、あの盗賊たちの慰み者になるのね…」

クルセは自分もくじけそうになる心を奮い立たせる。


「そんなことない! 必ず助けは来るし、私たちは助かる!」

俺は、そんな女性たち5人を空間魔法の空間マンションに招いた。

彼女たちの足元に開く穴、そして落ちていく。



彼女たちは、目を見開きながらその光景に驚いている。

彼女たち人の前に現れた3人の女性、さらに見たこともない部屋の中…

「えっと?」


クルセの前にいる長い黒髪の女性が喋り出した。

「もう大丈夫よ、ここに盗賊は手を出せないから」

クルセは、自分の思考をフル回転させて質問する。


「ここはどこですか?」

「ここは空間魔法で作った部屋よ。

だから、作った者の許可がないと入れないの。


盗賊たちは、この空間のことを知らないから入ってくることはないわよ」

さっきまで泣いていた女性が、質問する。

「それじゃあ、私たち助かったんですね!」


黒髪の女性はさらに答えてくれる。

「ええ、盗賊たちからは、助かったといえるわね」

「…それってどういう…」


「あなたたちは、まだ町や村に行ってないでしょ?

ここは空間魔法の空間の中。

あなたたちの安心は、町や村に着いてからだと思うわよ」


「だから、気を引き締めろと?」

クルセは真剣な表情で聞いてくる。

「ええ、でも、安全は保障するわ」


そう言って、3人の女性は笑顔になって5人の女性を歓迎してくれた。




…すごいな、京花の奴。

俺のマンション空間で、京花の奴が仕切ってやがる。

でもまあ、これであの5人は安全だろう。


俺は今、この盗賊屋敷を探検中だ。

財宝部屋、食料部屋、酒部屋、武器庫、屋敷の部屋を大雑把に分けて使ってやがる。

まあそれで、女たちの部屋があの突き当りのみだとわかったんだけどね。


しかし、空間魔法は便利だな。

アイテムボックス的な要素しか期待してなかったが、師匠に詳しく教わって

俺の空間はお城が丸ごと入るくらいあった。


ただ、師匠の京花は市が丸ごと入るくらいあるらしい。

これが勇者と一般人の違いねって笑っていたな~


それはともかく、今このアジトには盗賊の手下が5人しかいない。

どうやら、あの時言っていた本命にかかっているのだろう。

と、なると今は騒ぎを起こす時ではないね。


本命を襲って帰ってきて休んでいるところを何とかするか。

では、本命を待つために監禁部屋に戻っておくかな。




俺が監禁部屋に戻り、ベッドの下に潜り込んで寝ていると下の階から

大きな音が響いてきた。どうやら帰ってきたようだ。


「おい! 財宝はいつもの部屋に持って行け! 量が多いがくすねるなよ!

食料を食堂へもっていって宴の準備だ! あと女たちは監禁しとけ!」

「「「へい!」」」


いそいそと盗賊の手下たちが動き回る。

「しかし、うまくいったな! 今回は大儲けだ! これも帝国様様だ!」

大喜びの盗賊の親分に対し、手下の盗賊から質問が出た。


「親分、帝国がどう関係してるんすか?」

親分は呆れるように、手下の頭の悪さを嘆く。

「何だお前たち、そんなこともわからねぇのか?


いいかおめぇら、今まで盗賊家業やってきて今回の仕事、簡単だったろ?」

手下たちは少し考えて、

「確かに、護衛につくはずの兵士も少なかったし


民間の馬車には、冒険者の護衛さえいなかった」

親分は、今の意見を言った手下を指さし

「それよ。今この領地は帝国が攻めてきたせいで砦に兵士が集中している。


砦付近や砦に近い村なら、砦の兵士が駆けつけるがここのような

微妙な距離の場所は、兵士が駆けつけられないんだよ。

それに、今この領地は復興の最中で冒険者すら忙しく働いている。


だから、俺たちの仕事もうまくいくんだ。分かったか?」

「さっすが親分、頭いいな!」

親分は仕事がうまくいき、手下に持ち上げられ上機嫌だ。


しかし、2階から降りてきた手下の言葉に緊張が走る。

「た、大変だ! 女たちが、女たちが消えた!」

「何だとっ!」







ここまで読んでくれてありがとう。


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