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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第43話 始まりと無力




ダンジョン22階層。

宝物をとることなくダンジョンを進むと、例の女の子に襲われることもなく

無事に、この階層まで来れた。


階層ごとにいる冒険者や学園の職員の人に、会うたびに宝物には手を出すなと

耳にタコができるほど言われているので、アンナたちは手を出していない。


クレアが、宝物を発見するたびに肩を落として見逃している。

アンナたちは、そんなクレアを見るたびに例の女の子の事件、

早く解決しないかなと、祈るばかりだ。



しかし、どんな学園でも反発する者はいるもので

今回は、それが最悪の事態を呼ぶことになった。



「キャアアアァァァァ――」

23階層の入り口で、冒険者と学園職員に注意事項を聞いていた時

この階層のどこかから、女性の叫び声が聞こえた。


「今の叫び声って、まさか!」

入り口で待機中の冒険者は、隣の学園職員の女性を見ると

「おそらく、この班の前に出発していた班の女性のもの…」


冒険者は、急いで待機していた仲間を呼びに行く。

「ザック! ニルナ! この先で問題発生!

ボルガは、学園職員のゼルツさんと一緒に22階層に応援を呼んできてくれ!」


アンナたちはオロオロとしているが、護衛のフローラとレナは

アンナたちの傍に移動し、これからどうするか考えている。

「あ、あの、私たちは、どうすれば…」


クレアが、フローラとレナに聞くと

「私たちはここで待機よ、何が起こるか分からないんだから動けないわ」

レナもフローラの意見に賛成で、頷いている。


そんなやり取りをしている横を、

3人の冒険者たちがダンジョンの奥へと走っていった。

「では、私たちも上の階層で応援を!」


頷く冒険者と一緒に、学園の職員の女性は階段を上っていった。


その場に取り残されるアンナたち。

「だ、大丈夫かな? さっきの悲鳴って……」

アンナが心配そうに、ダンジョンの先を見て呟く。


「…この先の魔物に、襲われてあの悲鳴ってことではないと思うわ」

レナの言葉に、最悪の事態を想像するアンナたち。

その時、ダンジョンの先の方から地響きが静かに聞こえてくる。


「!! …震動? ダンジョンの中で?」

エリザベスが隣にいたアンナの手を握ってくると、それに気づいたアンナも

エリザベスの手を握り返した。


しかし、地響きは収まらず何度も何度も聞こえてくる。


「間違いないわね、これが『重力魔法』……」

フローラが、地響きの正体を分析しているとそこへ上の階層から

降りてきた他の班の人たちが現れた。



「アンナちゃん? リニアちゃんも? どうしてここに?」

聞こえてきた自分の名前を呼ぶ友達の声。

「リリアーナちゃん! 大変なの!」


リニアが、友達に一刻も早くこの大変な出来事を伝えようと声をかけると

その横から、がっしりとした冒険者の人が割って入る。

「あー、すまんがないがあったのか聞かせてくれないか?」


そこへフローラが割って入り

「ギュルツとバナーはこっちに来てくれる?

アンナちゃんたちは、そっちの班のみんなをお願いできる?」


アンナたちは頷くと、リリアーナたちの班を階段横の広い場所へ誘導し

何があったかを話し始める。

それと同時に、フローラたち護衛達も集まり相談を行っていた。



「それじゃあ、間違いないのか?」

ギュルツという冒険者は、フローラの説明を聞くと腕を組んで確認してくる。

「ええ、ほら今も振動が伝わってくるでしょ?

これは間違いなく『重力魔法』が使われているわね」


「俺たちにできることはないのか?」

「バナー、私たちがやらないといけないことは護衛対象の安全よ。

それに、助けに行きたいのはみんな同じなのよ…」


隣をミルフローラに、バナーは顔をしかめる。

そこには、ずっとダンジョン奥を見つめるレナの姿があった。

「…まだ、震動が分かるってことは戦っている最中ってことか」


フローラは頷き

「ええ、それに私たちがここにいるのは護衛対象を守るだけじゃないわ」

「それって、どういうこと…」


その時、ダンジョンの奥から学園の生徒たちが足って現れた。

「た、助け、助けて!」

5人の生徒がまず現れ、その後ろから傷だらけの冒険者とそれを支える


もう1人の冒険者に学園の生徒の1人。

「リニーちゃん!」

逃げてきた女子生徒の1人は、声の方に振り向くと友達のアンナの姿に

「アンナちゃああぁぁ~ん…」


そう言って泣き出してしまった。

アンナはそばに駆け寄り、抱きしめるとリニーという女子生徒は

抱きしめ返し泣いている。


また、他の生徒もその場に座り込み

また友達に抱きしめられて泣いているものもいた。



治癒魔法で癒される傷だらけの冒険者に、フローラは聞いてきた。

「…出たのね?」

傷を癒しながら冒険者は、顔を歪めて肯定する。


「ああ、例の女の子だ。あの桁違いの化け物は間違いない」

そして、学園の生徒同士で無事を確かめ合っている護衛対象を見ながら

「あいつらを逃がすことに手いっぱいで、何もできなかったよ…」


レナは、少し笑って

「何言ってるのよ、私たちは護衛が仕事よ。

例の女の子と戦って、いいわけないでしょ」


そこへ、上の階から冒険者が4人と学園の女性職員が現れた。


「…これは、どうなっているんだ?」

階段から降りてきた冒険者の1人が、フローラたちを見つけて聞いてくる。

「私たちは護衛の冒険者よ、この先で引き付けているのがこの階層の冒険者よ」


ダンジョンの奥を見つめて、階段から降りてきた冒険者たちは

「なら、君たちはここを。俺たちは進むぞ!」

降りてきた冒険者たちは頷き、ダンジョンの奥へと進んでいった。


学園の女性職員にフローラは質問する。

「それで、私たちはどうしますか?」

「ダンジョンの各階層に連絡が行くはずだから、それまではここで待機です。

それに、後続も上の階の階段付近に待機させているから…」


それを聞いてフローラたちは、ダンジョンの奥を見つめるしかなかった…






ここまで読んでくれてありがとう。


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