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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第33話 闇魔法




壊れた腕輪を箱に入れ回収した先生は、魔術練習場の端にある部屋に入った。

「…なぜ、このようなものが生徒の腕に…」

先生は、腕輪を見ながら、不思議に思っているようだ。


俺は、部屋の隅で見つからないように隠れていると

不意にドアをノックする音が響く。

「ニューバ先生、今日の授業は終了して生徒たちを教室に戻そうと思うのですが…」


「そうですね、では私も付き添いましょう」

ニューバ先生は、ドアを開けて応対し出て行った。



誰もいなくなった部屋で、俺は腕輪の入った箱に近づき鑑定魔法を唱える。


【鑑定】


この学園の図書館にあった魔法だけど、覚えておいてよかった~

……ん~、ただの腕輪だな。

装飾とか珍しい石とかもなく、本当にただの腕輪だ。


これで何かしようとか、何かされるといったことはないんだが……あれ?

俺が腕輪に爪でカリカリと引っかいていると、

腕輪の内側の膜みたいなものがはがれて、何かの刻印が見えた。


【鑑定】


俺が再び鑑定をすると、闇魔法の術式であることが分かった。

闇魔法か…しかも使いすぎると腕に影響があるように嫌らしい術式になってる。

腕が黒くなっていたのは、この闇魔法の所為か…


ん? ちょっと待てよ、もしかしてあの黒いゴブリンもそうなのか?

……いや、安易にむすびつけてもよくわからなくなるだけだ。

ここは、もっと情報が必要だな。



そう自分なりに答えを出した俺は、部屋を出て保健室に向かった。


でも、闇魔法か。

なかなか使う機会がないから、もっと勉強してみるのもいいかもしれないな。

しかし、あのエルフの子、腕は大丈夫かな。


黒く変色していたのは、腕輪が外れても治ってなかったけど…

黒く変色すると、もう治らないとかはかわいそうだな…


俺は、エルフの子を心配しながら保健室へ到着すると中へ忍び込む。

「~~~!」

中に入って目についたのが、いまだ治療中だったことだ。


気を失って運び込まれたエルフの子は、治療を受けながら痛みを我慢している様子。

治癒魔法をかけている、保健室の先生は額に汗を流しながら治癒をおこなっている。

それを見守りながらも、何もできないことにイラつく教師。


さらに、エルフの子が暴れないように抑えている人がいた。

「大丈夫かな……ミーナ先生、治りますよね? ね?」

ミーナ先生というのは、治癒魔法を使っている保健室の先生のことか。


今も額に汗を浮かべ、懸命に治癒魔法をエルフの子の変色した腕に行使している。

「ガルア先生、心配なのはわかりますが今は見守ってください」

「し、しかし…」


「私たちにできることは、見守るしかないんですから」

おお、ガルア先生が困り顔で黙ったようだ。

保健室に運んだ先生は、生徒思いかもしれないな…


ガルア先生を注意したのは、助手の先生かな?

ミーナ先生の治癒魔法をじっと見守っているようだけど、

こちらも額に汗しているってことは、エルフの子を放すと暴れてしまうからだろう。




しかし、治らないな…

あれから5分は治癒魔法をかけっぱなしだ。

いくらなんでも、腕は治っていないとおかしいのに未だ黒く変色している。


「…おかしいですね、こんなに治癒魔法をかけているのに変色したままなんて」

「ミーナ先生、この子はいったい…」

「もう少し、もう少しだけ……」


これはちょっと鑑定魔法をかけてみるか。


【鑑定】


!! このエルフの子の腕、呪いが掛かっている。

だから、治癒魔法が効きにくくなっているのか…ならば


【ディスペル】


甲高い何かが壊れる音とともに、治癒魔法が効力を発揮して腕が治っていく。

「ミーナ先生、腕が、治癒していきます…」

「今のはいったい……」


ガルア先生は、祈るように

「よかった、よかった…」と安堵している。




ようやく治癒も終わり、今はエルフの子はベッドの上で寝ている。

保健室のミーナ先生と助手の人は、入り口でガルア先生と話していた。

「ガルア先生、あの子は気が付くまでここで寝かせておきますので」


「はい、このことは学園長に報告しておきます」

「それと、あの子が身につけていた腕輪、詳しく調べておいてください」

「やはり、あの腕と関係が?」


「ええ、私の想像ですけどあれは『闇魔法』だと思いますから」

「や、闇魔法って……いや、しかし…」

困惑を浮かべるガルア先生だが、ミーナ先生はいたって真剣だ。


「ですから、調べてもらいたいんです」

「わかりました。

それとこのことも学園長には報告しておきますね」


「ええ、闇魔法が本当ならこの学園、いえ、この王国の一大事ですから」

ガルア先生とミーナ先生は、お互い頷いてガイア先生が保健室を出て行った。


しんと静まる保健室で、助手の人がミーナ先生に質問する。

「ミーナ先生、闇魔法ってあの闇魔法ですか?」


「ええ、かつて世界を巻き込み、勇者召喚で呼び出された勇者によって

討伐された魔族王が使っていた魔法『闇魔法』

それを扱えるものが、この世にいるということ…」


助手の人は、困惑した顔になり

「魔族王……ですか…」

「ええ、でも魔族がよみがえったとか生まれたとかそういう話は聞かなかったけど」


「でも『闇魔法』が使用されたってことは…」

「もしかするかもしれないから、調べるのよ」

この後、保健室はベッドで寝ているエルフの子の寝息だけが聞こえていた。







ここまで読んでくれてありがとう。


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