第30話 ゴブリン討伐 決着!
俺がいる場所にまで咆哮が聞こえた後、何かが女性3人の手前に飛んできた。
「な、何が…」
「!!」
女性3人が見たものは、新人の冒険者の男だった。
呆然とする女性陣だったが、すぐに動き出し新人に向かって治癒魔法をかける。
【ヒール】
治療を受ける新人君をその場に残し、俺は飛んできた方向へ走り出した。
少し走っていくと、2人の新人冒険者が倒れている。
…これは、さっき飛んできた新人君と同じように飛ばされたな。
すぐに治療するため、前足を新人君2人の顔に載せて治癒魔法を使う。
【ヒール】
淡い緑の光が2人を包み、回復していく。
さらに、大きな音が聞こえる場所を目指すとそこでは冒険者が戦いをしていた。
相手は大きな2匹の黒いゴブリン、しかもゴブリンが持っていた武器は丸太だった。
ゴブリンが丸太を振り回して、冒険者達と戦っている!
冒険者の剣が丸太に阻まれて、全然攻撃が当たっていない。
丸太最強か?
新人冒険者にいたっては、すっかり腰が引けてる。
「ゴ、ゴブリンキングなんて、聞いてないぞ!」
「君たち、あれはゴブリンキングじゃない!
あれはただのゴブリンだ!」
ベテラン冒険者は、新人に訂正する。
「そんなばかな! あの大きさと強さはゴブリンキングじゃあ…」
「あの状態はスキルの影響だ!」
「ス、スキルですか?」
ベテラン冒険者は、ゴブリンとの距離をとりながら新人に答えていく。
「そうだ、あれがオーガがよく使う『狂乱』というスキルだ」
「狂乱……」
「だが、ゴブリンで使うやつは初めて見た…」
あれが狂乱スキルの影響か。
ゴブリンの大きさが2倍以上になり、肌の色も緑から黒になった。
しかし、一番大きいのは力が強くなったことだろう。
現に、武器がこん棒から丸太に変わっている。
あれを振り回しながら威嚇する姿は、ゴブリンとは分からないな。
「くそ、攻撃が、なかなか通らないな…」
と、そこへ後ろから魔法使いの女性3人が
黒いゴブリンに飛ばされた新人の3人を連れてきた。
「ちょっと、どうなっているの?」
「あれが、ゴブリンだ」
「あれって、狂乱の状態なの?」
「ああ、攻撃が通らなくてな困っていたところだ」
話を進めて、戦う気満々なのはベテランの冒険者だけだな。
新人の冒険者たちは、固まってゴブリンに腰が引けてる。
―――グオオオ!!
ゴブリンが再び咆哮を、それも2匹そろってあげた!
「ヒィイイ」
新人冒険者たちは、全員委縮してしまう。
それを横目にどうにかしなければと焦るベテラン冒険者を、嘲笑うかのように
ゴブリンは一気に走り出し、ベテラン冒険者に襲い掛かる!
「皆! 来るぞ!」
盾を構え、新人たちの前に庇うように立ち覚悟を決めたベテラン冒険者。
【ロックチェーン】
俺は石の鎖を、ゴブリンの足元に展開。
うまく2匹とも鎖に足をとられ、盛大に転ぶ!
地震かと思えるような地響きとともに、ゴブリンが転倒した。
「今だ!」
ベテラン冒険者が襲い掛かる。
魔法使いの女性は、後ろで固まっている新人たちに喝を入れた。
「あなたたち、チャンスよ! 攻撃をしなさい!」
新人たちは、残りカスのような勇気を振り絞りゴブリンに攻撃していく。
ベテラン冒険者の剣が、ゴブリンの首を飛ばした時戦闘は終了した。
それと同時に、全員がその場に座り込んだ。
「お、終わった……」
新人は、もう体力も精神力も限界だった。
それを見たベテラン冒険者たちは、仕方がないとばかりに苦笑い。
「いいわ、あなた達はそこで休んでいて
後の処理は、私たちがやっとくから」
新人たちを休ませて、ベテラン冒険者たちは
ゴブリンの討伐証明部位と、魔石を集めると
魔法で穴をあけ、ゴブリンをその中へ入れていく。
「カリナ、この穴に入れたゴブリンは焼いてしまってくれ。
アンデッドにならないように気を付けてな」
「任せなさい!」
ベテラン冒険者の魔法使いは、穴に魔法を打ち込む。
【ファイアーストーム】
轟音を響かせながら、ゴブリンを跡形もなく焼いていく。
ゴブリンは魔物の中でも特に魔石以外使い道のない魔物だ。
そのため、討伐の後は魔石と討伐証明部位をとった後は
こうして焼いてしまうのが、冒険者の間での常識となっている。
新人冒険者たちは、大きな炎で焼かれていくゴブリンを見ながら
ようやく討伐クエストが終わったことを理解し
自分たちの未熟さを、噛みしめるのだった。
しばらくして、立ち上がれるようになった新人たちとともに村へ帰還。
村の長に今回の討伐を報告し、冒険者たちは王都へ帰っていった。
俺はというと、冒険者が帰る前に店によってコメを購入。
それを空間収納でしまうと、冒険者たちが乗って帰る馬車に便乗し
王都へ帰還していった。
今回購入したコメを使って、いろんな料理に挑戦だ。
美味いものを食べる、これが生きがいになりそうだな~
ここまで読んでくれてありがとう。
昨日は更新できなくて申し訳ない!




