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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第24話 ネコ誘拐事件の真相




王都、ブロトール学園貴族専用寮。


『それで、シャーロット。俺はただあの赤いネコの親子が帰ってくるまで

待っていればいいのか?』

メイドの眠るベッドの上に乗り、俺はシャーロットに聞く。


シャーロットは考え込むと、

「そうね、あの時は赤いネコがめずらしくてテイムしようとしただけだし、

今となっては、特にしてもらうこともないわね…」


『そうか…しかし、ネコ失踪事件とは王都は退屈しないところだな~』

シャーロットが苦笑いしている。


「王都のネコがいなくなっている……

でもおかしな話よね、動物を飼うなんて貴族かテイマー以外いないだろうし

何かに使うなら、魔物の方が価値があるわよ。


魔法が使えるネコなんてそうそういないし、

となると何かの目的で攫っているのかしら?」

『ん~、こればかりはわからないな~』


シャーロットと赤いネコ親子の話をしていると、メイドが起きた。

「ん~…お腹空きました……」

「ニーナ、お昼にはまだ早いわよ?」


「? あ! お、お嬢様! いつお戻りに?!」

シャーロットは少し呆れ気味に

「少し前よ、ニーナが私のベッドでぐっすり寝ていたから驚いたわよ」


ニーナは顔から耳まで真っ赤にして、俯いてしまった。

「…お嬢様のベッドは、いい匂いがしてよく眠れますから…」

「フフフ、ありがとうニーナ」



ニーナというメイドが、ベッドを降りるとき俺に気づいた。

「あら、お嬢様、このネコはお嬢様の使い魔ですか?」

「使い魔?」


「はい、今学園の魔法使いたちの間で流行っているんですよ。

ネコの使い魔はかわいいですし、使い勝手もいいですしね」

俺とシャーロットはお互いを見る。


「ねえニーナ、そんな話どこで聞いてきたの?」

「メイドたちが集まる休憩室で聞きました。

お嬢様たちが授業を受けるときは、私たちは休憩ができますから」


このメイドさんの話が事実なら、赤いネコの親子が探しているネコは

この学園にいるかもな…


「でも、使い魔にするネコって自分で捕まえてくるの?」

「いえ、捕まえることを生業にしている商会があるそうです。

王都にはネコが多いですが、使い魔にできるネコはなかなかいないそうですよ?」


使い魔にできるネコか…

赤いネコの母親と妹って、どんなネコなんだろう。

さらわれたってことは、使い魔にできるってことだしな。


メイドのニーナは、どうしてもお腹が空いたらしく部屋を出て行った。

食いしん坊キャラか…




『しかし、使い魔って何するんだ?』

「う~ん、主人の側にいて主人のために行動する?」

シャーロットは、腕を組んで悩みながら答えてくるた。


『シャーロットもわからないのなら、本当によくわかってないのかもな』

「今度、使い魔を従えている友人に聞いてみるわ」


『それなら、暇だし学園の図書館に案内してくれ!』

「……ネコが本を読むの? というか字が読めるの?」

『勿論、俺が使う魔法も本を読んで覚えたものだからな!』


シャーロットが、俺をじっと見つめる…というより睨みつける。

「あなた、本当にネコなの? 実は変装した何かじゃないの?」

『俺は、正真正銘ネコだよ。人化できるけどな!』


シャーロットが床に両手をついてへこんでいるぞ…

「人化って、上位ドラゴン系統の秘匿魔法じゃないの…

ドラゴン研究の第一人者と言われたケイン先生が発見した魔法を

何であなたがそう簡単に使えるのよ~」


『…泣かなくてもいいだろうに……』

「それで、どうやって人化なんて秘匿魔法を覚えたのよ…」

シャーロットが、目に涙を浮かべて睨んでくる。


『睨まないでくれ…

人化の魔法はある魔物が教えてくれたんだよ』

「待って、魔物? 魔物が人化の魔法を使っているの?」


『ん~、俺の先生はあまり使わないって言っていたな、

特に人化する必要も感じないってことだったが…』

シャーロットが、難しい顔をして悩んでいる。


「魔物が人化の魔法を使って私たちの世界に……考えただけでも怖いわ…」

『その心配はいらないと思うぞ?』

シャーロットは、身をすくめて俺を睨む。


『あのな、俺の先生曰く人化の魔法は

昔、エンシェントドラゴンによって生み出された魔法だそうだ』

「…エンシェントドラゴン?」


『シャーロットなら、古代竜といった方が分かるか?』

「……ええ、古代竜…ドラゴンの始祖と呼ばれる神に近いドラゴンよね」

『俺はよく知らんが、その古代竜が創った魔法が人化の魔法だそうだ』


まだ睨んでいるぞ、シャーロット。

「…あなたは、人化の魔法を使って何をするのよ」

『俺が人化の魔法を覚えたのは、魔物の素材なんかを売るためだな』


お、今度は呆れ顔だな。

「……でも、よく考えたらネコが素材を売りに来たらびっくりするわね」

『まあな、俺も初めて売りに行ったときはドキドキしたもんだ…』


うん、なつかしいな。

「ねえ、魔物が人化の魔法を使って人々の中に紛れているなんてことは…ないわよね?」

『ん~、俺は聞いたことないな。

人化の魔法が使える魔物にとって、人になる必要ってないと思うぞ?』


「…なぜ?」

『だって、人化が使える魔物って大抵が知恵があり人の言葉が分かる魔物だからな。

さらに言えば、念話も使えるみたいだし…』


「……」

『知恵ある魔物にとって、人の生活って魅力あるものになってないんだろうな』

シャーロットは、拗ねたように俺に訪ねてくる。


「あなたも、人の生活に魅力を感じないの?」

『俺? 俺は人の生活というより料理に興味があるな!』

「…料理?」


『おお、美味いものは魅力的だろ?』

おお、完全にシャーロットが呆れたぞ!







ここまで読んでくれてありがとう。


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