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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第22話 身代わりのネコ




学園の校舎裏で、赤いネコ2匹を発見したが戦闘中だった。

相手はこの学園の生徒だろう。

学園の制服を着ていて、さらに赤いネコがめずらしいということでテイムしようと


テイム魔法を唱えて2匹を従えようとするが、2匹は抵抗して動けなくなった。

「わたくし、シャーロット・キャルベルの僕として

従わないなんて、いいですわよ。わたくしも切り札を出しますわ!」


【召喚 レガルド】


彼女の足元の魔法陣から、2匹の赤いネコとは別の赤いネコが現れた。

動けない2匹の赤いネコは、その召喚された赤いネコに驚き

同時に言葉を発する。


『『父さん!!』』


…あれがあの2匹の父親か、

確かに前進が赤いが頭から背中にかけて白い線があるな。

ということは、あそこにいる女性が赤いネコの父親の主人ってことか?


「さあ、レガルド。あなたと同じ赤いネコを弱らせなさい!」

赤いネコたちの父親は動かない。

「どうしたの? あの2匹を弱らせてわたくしがテイムするのよ」


赤いネコの父親は、主人の女性を見つめる。

「……まあ、あそこの赤いネコ2匹はあなたの子供たちなの?」

赤いネコの父親は、息子たちに向かい喋った。


『なぜおまえたちがここにいるんだ? 妻や娘はどうした?』

動けない赤いネコ2匹は、これまでのことを父親に話して聞かせる。

『……そんなことが…何時、何時いなくなったんだ?!』


『い、いなくなったのは…昨日のことだよ…』

『…母さんから聞いてる、困ったことがあったら、父親を頼れって…』

父親は、顔を歪める。


『私は、契約で縛られていて動けない…』

『それじゃあ、母さんと妹は……』

赤いネコたちは、全員がうなだれる。


「ちょ、ちょっと、話を聞いていれば大変じゃない!」

『主…』

テイマーの女性は、僕の赤いネコの傍によって提案する。


「レガルド、わたくしの言葉をそこの赤いネコ2匹に通訳しなさい。

いい? あなたたちの父親を解放させるには、代わりのネコがいるのよ。

テイムし契約した動物は、期限が決められていない契約を結ぶわ。


だから、テイム解除をするには代わりがいるの。

しかも、今回はネコを解放するのだから代われるのはネコだけ。

だから、あなたたちのどちらかを

代わりにわたくしのもとに残ってもらわないといけないわ。


どう、あなたたちのどちらかをレガルドの代わりに残ってくれる?」


赤いネコ2匹は、テイマーの女性の言葉を聞いて顔をしかめる。

自分たちのどちらかが残るなんてできない。

なぜなら、母親と妹を助けに行きたいから……


赤いネコ3匹と女性は困った顔を浮かべる。

…なんかあのシャーロットとかいう女性って、意外に優しい子なのかも。

仕方がない、乗り掛かった舟だ。俺が代わりになろう。



俺は、塀の上から鳴き声を上げる。

「ニャ~」

3匹と女性が、一斉に俺の方を見る。


『俺が身代わりになってもいいぞ~』

赤いネコたちは、驚きとともに反対する。

『お前は、今日会った白ネコじゃないか! そんなお前に身代わりをさせられるか!』


『そうだ!第一、俺たちが戻ってくると信用できるのか?』

『息子たちの言うとおりだ、我ら親子のために君が犠牲になることはない』

「ちょっと! 犠牲とか何勝手なことを…」


『何だよ、お前たちは恩知らずなネコたちだったのか?』

『そんなわけあるかっ!』

『なら信用するよ、早く奥さんと娘さんを探して助けてあげなよ』


『『『……』』』

2匹の赤いネコたちは、黙って父親を見ている。

父親の方は、息子たちを見つめる。


そして、お互い頷きあうと腹をくくった。

『…わかった、君の好意は絶対に無駄にはしない。私たちは必ず戻ってくる』

『信じているよ~』



女性は、レガルドの言葉だけで状況を理解した。

レガルドが主である女性を見つめる、そのことに女性は観念したようだ。

「わかったわよ、そこの白ネコを代わりにレガルドを解放するわ」


女性が杖を取り出し、詠唱を止めてレガルドに忠告する。

「いい? 3日よ、私の力じゃあ『契約の変わり』は3日しか持たないわ。

それまでに、奥さんと娘さんを救出して戻ってくるのよ!」


女性は詠唱を再開すると、赤いネコの足元にある魔法陣が俺の足元にも表れると

赤いネコの魔法陣は霧散した。

それと同時に、赤いネコたちは3匹とも自由に動けるようになり


そのまま、3匹連れ立って塀を乗り越えていなくなった。



後に残った俺の足に契約の輪が現れ、はまった。

うむ、アクセサリーみたいでいいかもしれんな~


女性が俺を見て呆れているようだ。

「…ネコのくせに、身代わりをかって出るなんてなんだか生意気よ」

『悪かったな、まあ3日の間だけだがよろしくな~』


「うそ! 私の頭の中にあなたの言葉が聞こえてる!」

『念話を使っているからな、それにシャーロットの言葉もわかるぞ』

「…何このネコ…」


俺は尻尾を1回振ると、

『ただの白ネコだよ、どこにでもいるな』

そう言って、学園の中へ歩いていく。


シャーロットは、俺の後姿を見ながら

「……どこがどこにでもいるネコなのよ」

と愚痴を言うのだった。







ここまで読んでくれてありがとう。


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