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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第21話 赤いネコたちの事情




ネコたちが考え込むこの場所は、職人街に近い市民街。

すぐそこは職人街だが、近いということもありこの市民街に住む職人も多い。


そんな場所の路地裏でネコが集まっている。

『魔法を使うネコ……赤いネコ……あ!』

今までケンカして傷ついて倒れていた青いネコの1匹は、何かを思い出した。


『知ってる、赤いネコを見たことあるぞ!』

『おい青いの、どこで見たんだ?!』

赤いネコたちが、青いネコに詰め寄るがまとめ役によって防がれる。


『落ち着かんか、親を探していて焦るのはわかるがまずは話を聞け』

『……すまない、それでどこで見たんだ?』

詰め寄られた青いネコは、一瞬ひるんだがまとめ役に促されて話し始める。


『あ、ああ、俺が見たのは貴族街と市民街の間にある施設で見たんだ。

あれは半年ぐらい前だったか、施設の塀の上を歩いていると、

塀の下に人族の女の子と赤いネコが一緒にいるのが見えたんだ。


赤いネコとは珍しいなとか、市民街のネコかなとか、考えていると

人族の女の子が呪文を唱えると、魔法陣が現れてその中に赤いネコが

入っていったんだ。


あれは、おかしな光景だったが、あの赤いネコがお前らの父親か?』


赤いネコ2匹は、考える。

『ん~、その赤いネコに何か特徴はなかったか?』

『特徴……特徴…、そう言えば、あの赤いネコの背中から頭にかけて

白い線が入っていたな』


まとめ役が声を出した。

『白い線だと? それは模様みたいなものか?』

『ああ、全身は赤く頭から背中に白い線があったな…』


その場にいるネコ全員の視線が、2匹の赤いネコに向けられる。

『どうだ、青いのの見たネコがお前たちの父親か?』

赤いネコ2匹は、静かに頷いた。


『ああ、間違いない。俺たちの父親だ…』

『それで、なぜ父親を探しているのか理由を聞いてもいいかな?』

まとめ役は、赤いネコたちから理由を聞きだす。



『…2日前のことだ、俺たちの妹と母親が忽然と消えた。

何の前触れもなく、忽然とな』

『それは、死期を悟ったとかではなくか?』


ネコが死ぬとき、死期を悟って飼い主の前からいなくなることがあるそうだが

この異世界でもそんなことがあるのか…


『それなら妹を連れていくことはないだろう』

『確かにな…』

茶白のネコが納得する。


『それで、俺たちは近くのネコに聞いて回ったが誰も知らなかった。

そこで、母親のある言葉を思い出した。

自分たちで解決できないことがあったら、父親を探しなさいってな』


『それで父親を探していたのか?』

『ああ、母親はよく自慢していた。

お前たちの父は人と同じく魔法が使えるのよ、とな』


『だから、父親を探して母と妹を魔法で探してもらおうと思ってな…』

ん~、魔法にそんな便利なものがあったかな?

『そこの白ネコに、探してもらうわけにはいかないのか?』


青いネコが俺を見て赤いネコに提案する。

ここは俺の意見を言っておいた方がいいな…

『あ~、俺は君らの母親と妹を知らないから探しようがないぞ?』


まとめ役がそれを聞いて意見する。

『それは知らないものは探せないという訳か?』

『そうです、探す対象の顔や特徴が分かりませんから』


『ふむ、それでは仕方がないな…』

赤いネコたちは少し落胆しながら

『では、俺たちはその施設に行って父親を探してみる』


まとめ役が、赤いネコ2匹を見て

『では、君たちの家族を見つけるまで市民街のネコに通達をしておこう』

『…そうだな、職人街のネコがいるとちょっかいを出すネコがいるみたいだからな』


青いネコ3匹と黒に白の靴下ネコは、

他のネコと視線を合わせないようにしている。

…いろいろあるのね、ネコの社会も。




その後青いネコについて行き、

その施設とかの正面で見たのは、学園の看板だった。

それは、アンナが試験を受けて通うことになる学園だったのは偶然だろう。


赤いネコ2匹はそのまま塀にのぼり、学園を一周して探し始めるそうだ。

青いネコたちは、自分たちの縄張りへ帰っていった。

まとめ役と茶白のネコは、赤いネコのことを通達するため教会へ帰っていった。


その時、まとめ役から市民街での見学の許可はもらっておいた。


しかし、赤いネコと人族の女の子ね~

青いネコの目撃情報だと、おそらくそれは召喚、もしくはテイムかな。

魔法が使えるのも、人族の女の子から教わったと考えるのが妥当だろう。


となると、その女の子は召喚術師かテイマー。

他にも契約しているものがいるかもしれないな…

……契約か、あの赤いネコたちの父親も人族の女の子と契約をしているのかも。


ならば、探してみる場所も学園だけではなく冒険者ギルドも探してみるべきだな…

よし、さっきの赤いネコたちに教えてこよう~

俺はすぐに、学園の塀に登り赤いネコ2匹を追いかけた。




先ほど別れたばかりの赤いネコ2匹には、すぐに追いついたが

何やらトラブルに巻き込まれていた。


「…赤いネコとは珍しい2匹ね、いいわ、私が使役してあげる。

ありがたく思いなさい!」

人族の女性は、赤いネコ2匹に向かって呪文を唱える!


【テイム】


その呪文にかかった赤いネコ2匹は、苦しそうに呻きだし伏せの状態になった。

しかし、どうにかして抗おうとしているようだ。

「…どうやら、簡単には私の物にはならないのね…」



これ、俺はどうしたらいいのかな?

助けに入るべきか、それとも見守るべきか…








ここまで読んでくれてありがとう。


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