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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第19話 王都のネコ事情




王都にあるアンナ親子の屋敷はとにかく大きかった。

俺がネコで、小さいからかもしれないが部屋数は多いし廊下は長いし広い。


アンナが自分の部屋に案内されると、そのままベッドにダイブしていた。

大きなベッドで寝ること自体が久しぶりなのだから、しょうがないのだろう。

ジニーはそんなアンナの姿を見て、微笑ましく見守っている。


「お嬢様、もうすぐ夕食です。荷物の整理をしませんか?」

「わかりました。ケロちゃん、荷物の整理をするからベッドでおとなしくしててね」

アンナは俺の頭を撫でると、ジニーとともに自分の荷物を

クローゼットなどへ整理整頓している。


俺はそれを横目に、ベッドの上でおとなしく丸くなる。

こんな時は、ネコでよかった~




「さっ、お嬢様。荷物も整理できましたし、食堂へ行きましょう」

「そうね。ケロちゃん、夕食ですよ~」

アンナは俺をベッドから抱き起すと、床に降ろしてついてくるようにと

先に進んでいく。


俺はアンナとジニーについて、食堂へ移動する。

「ジニー、学園の入学試験などはどうすればいいのか知ってる?」

「それならば、明後日学園に向かいそこでおこなわれるそうです」


学園に入るのに試験か…

貴族だから、試験免除という訳にはいかないんだな~




食堂に着くと既にみんなそろっていた。

「荷物の整理で、遅くなりました」

そう一言謝って、アンナは自分の席に着く。


「アンナちゃん、もう荷物の整理は終わったの?」

「はい、お母様。ジニーが手伝ってくれましたから」

「羨ましいわね~」


アンナの実母であるニコルさんが、羨ましがってる。

まあ、荷物の量の違いだろうな…

「始めてちょうだい」


「はい、フローラ奥様」

そうメイドが返事をすると、今日は歓迎会も担っているのか

フルコースが用意されていた。


前菜から順番に出てくる食事に、舌鼓を打ちながら会話は続く。

「そういえば、アンナは寮に入ることにしたのかい?」

「ウィリアム兄様、お姉様たちと相談して寮に入ることにしました」


「あらら、アンナちゃんも寮に入っちゃうのね…」

ジェシカさんが残念そうにしている。

「ジェシカ母上、学園に通うにはこの屋敷は少々遠すぎますよ」


「そうね、ウィリアムの言う通りよ。

それに、学園の寮なら勉強に有利だもの。ここは我慢よジェシカ」

「フローラ姉様……、そうね長期休暇にはここに帰ってくるものね」


みんなもうアンナが学園に入れる会話になっているな~

まあ、学園に入っている姉たちが問題ないように扱っているなら大丈夫なんだろう。

時々、学園に遊びに行ってみるかな!



しかし、ロベルトよ、会話に参加せずに黙々と食っているな。

……ロベルトって、人見知りだったか?




次の日、食堂で姉たちと一緒にアンナは勉強中。

ウィリアムやロベルトは、それぞれの仕事の上司の元へ行き

母親たちは、アンナたちの勉強姿を横目に紅茶を飲んでくつろいでいる。


俺は、この屋敷で特にすることもないので王都の町を見物に出かけた。




屋敷の中をうろついて外への出入り口を探していると、

数多くのメイドさんたちが、仕事をしていた。

掃除、洗濯、ベッドメイキングなど。


あれはメイド長かな? 

メイドさんたちに指示を出し、自らも仕事をこなしている。


さらに屋敷をうろついていると、ようやく出口を発見!

外に出て行くメイドさんと一緒に、そのまま屋敷の外へ。



屋敷の外へ出ると、今度は広い庭が目の前にあった。

おそらく、庭師と思われる人たちが草刈りや木の手入れなどをしている。

俺はそれを見ながら、塀のある場所まで走っていった。


塀に飛び乗ると、そのまま屋敷の外へダイブ。

すると、そこはお隣の庭だった。

門から出ないと外には行けないのか~


そんな反省とともに、門に向かって走り門の横の塀から外へ脱出した。


ようやく外に出たのに、そこにはいろんな馬車が通っている。

歩いている人が少ないな~、さすが貴族街。

通っている馬車の中から、乗りやすそうな馬車を選んで潜り込んだ。


よし!これで町を見物できるぞ~

馬車は貴族街を進み、地面の色が変わったと思ったら市民街に入ったようだ。

俺はそこで馬車を降り、見物を始めた。



市民街は、貴族街と違いなんか家がひしめきあっていた。

3階建ての家が多く、

アパートともマンションともいえるような所に人が住んでいる。

こんなに人が住んでいるとは、王都は人が多いんだな~


「ニャニャ~」

『お前さん、新入りかい?』

茶色と白色のネコが家の玄関にある階段から声をかけてくれる。


『どうも、初めまして』

『見たことないが、どこから来たんだ?』

『貴族街に住むことになったネコです。今は王都を見物中です』


俺の言葉を聞いて驚く茶白のネコ。

『おいおい、貴族街のネコが市民街に来ていいのか聞いてないのかい?』

『そういえば、貴族街のネコにはまだ会ったことなかったな…』


『はぁ~、新入りの教育もできないとは。

これだからお高く留まったネコは嫌いなんだ』

『あの、何かまずかったですかね?』


『う~ん、お前さんは貴族街のネコなのに気さくだな』

『他所の町から来ましたから、この王都のことに疎いだけですよ』

『ふむ、ならこの市民街のまとめ役に合わせてやろう』


『まとめ役ですか?』

『ああ、それぞれの場所にはまとめ役がいるんだよ。

そのまとめ役が他のまとめ役と話をつけたり、いろんな世話を焼いてくれるんだ』


『何か、大変そうな役目ですね』

『だから、まとめ役にはそれ相応のネコがなることになっている』

『へぇ~』


『まあ、ついてきな…』

茶白のネコは、俺の前を行くと振り返りついてこいと合図する。

俺はその茶白のネコについて歩いていく。



王都はなかなか面倒な場所のようだ…







ここまで読んでくれてありがとう。


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