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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第18話 王都へようこそ!




今日も俺はアンナの側で丸くなって寝ている。

馬車の旅も10日が過ぎた。途中、いろんな町や村に寄ったが

ほとんど宿で過ごし、面白いものは見れなかった。


アンナは、姉たちと勉強の真っ最中だし

母親たちは、冒険者や使用人たちと打ち合わせをしているし

はっきり言って暇なのだが、外に出ようとするとアンナに注意されるのだ。


「ケロちゃん、お外に行くなら早く戻ってね」

こういわれたら早く戻らないわけにはいかない。

それに、見張りというか付き添いがいるしね~


そんなこんなで、明日ようやく王都に到着する。

王都1つ前の町の宿に、今日はお泊りだ。

みんなが寝静まってから、俺はこっそりと部屋を抜け出し宿の屋根に上がった。



ふむ、いい景色だ。

月の明かりが夜の町を照らし、ところどころ明かりが漏れている。

たぶん酒場などの明かりだろう。


宿の屋根の上で座って周りを見ると、他にもネコがいた。

「ニャ~」

俺が鳴き声を出すと、そのネコも鳴いて答える。


「ナ~」

『こんばんは、いい月夜ですね~』

『そうだな、ところでお前さんは新入りか?』


黒と白のネコが姿を現し、俺に近づいてくる。

『いえ、俺は今日この町に来て明日この町を出るネコです』

『なら旅ネコか。ご主人に付いての旅かい?』


『ええ、この先の大きな町へ行くんですよ』

『ほう、王都へ行くのか。なら気を付けなよ、あそこはネコの数が多いからよ』

『詳しそうですね』


『何、昔は王都に住んでいただけさ。

だが、今は王都に住むネコは増えていくつかの派閥ができてるからな~』

『派閥ですか?』


『ああ、王都は貴族街、市民街、職人街、市場街と別れててな

それぞれに、派閥ができている。特に貴族街のネコの派閥はお高く留まっているぜ』

『へえ~、派閥のネコ同士で何かあるんですか?』


『というより、住み分けしているといった感じだな。

違う派閥同士でケンカがあるわけでもないしな』

『教えてくれて、ありがとうございます』


『何、王都に自分の意志で行くわけじゃあない若者に

老婆心ながらの忠告さ』

「ナ~」


そう鳴いて黒白のネコは去っていった。

良いネコだったな……旅はいろんなネコに会うのもいいな。

今度旅に出るときは、いろんな町のいろんなネコを探してみるかな~


白黒のネコが去っていった方向を見ながら、俺は物思いにふけっていた。

……そろそろ帰るか、明日は王都に着くみたいだし。

そして、俺は部屋に戻っていく。




次の日の朝、朝食後出発。

その日の午後には、王都に到着した。


目の前にそびえたつ城壁。馬車の窓からの眺めにもかかわらず迫力満点だ。

そして下に視線を移せば、門に並ぶ長蛇の列。

「サラ姉様、私たちもあの列に並ぶの?」


サラはアンナの質問に笑顔で答える。

「いいえ、私たちは貴族だから貴族専用の列から入るのよ」

「貴族は特別ってこと?」


今度は、クレアが笑顔で答えてくれる。

「フフ、アンナちゃんそうじゃないよ。

私たち貴族は住んでいる場所がどこかわかっているのよ。

だから、何かあった時はそこへ使いを出して確認がすぐに取れるから違う列になるの」


「お嬢様、いうなれば信用があるということですよ」

「そうなんだ、教えてくれてありがとう。サラ姉様、クレア姉様、ジニー」


なるほどな~、よく貴族は特別だからとか勘違いしそうだけど

うちのお嬢様方は、ちゃんと理解しているようでうれしいね~



お嬢様たちで話をしていると、馬車のドアがノックされる。

ジニーがドアを開けると、騎士の恰好をした女性が名前の確認に来たようだ。

それぞれ乗っているお嬢様方が自己紹介して、最後にジニーが名前を言って終わった。


と思ったら、俺の存在に気付いた。

「あの、そのネコはどなたのネコですか?」

「はい、私のネコのケロちゃんです」


「ニャ~」

おや、俺が鳴くと女性騎士の顔が緩んだぞ?

「コホン、はい結構です。では改めて、王都へようこそお嬢様方」


そう挨拶をして、後ろへ歩いて向かった。

ジニーがドアを閉めて、ようやく車内に緊張感がなくなる。

「後はこのまま、旦那様のいる屋敷に向かいます」


窓から見える景色は、列に並び退屈にしている子供たちも見えた。

俺のことに気づいたのだろう、傍にいる母親らしき人に俺のことを報告している。



馬車が動き出し、大きな王都の門を通るとすぐに馬車道の両側の店が見えた。

いろんな店があって、大きい店、小さい店、派手な店、質素な店と様々だ。

他にもいろんな人が行き来しているのが見える。


人、エルフ、ドワーフ、竜人なんて人もいる。

ハーフの人も多いようだな。

やっぱり王都はすごいや。さすが王様のお膝元、人の数が半端ない。



町中を通り抜け、貴族街に入り目的の屋敷に到着した。

母親やお嬢様方を迎えてくれたのは、屋敷の主である旦那様ではなく2人の兄弟。

ウィリアムとロベルトだ。


ウィリアムはすでに学園を卒業していて、今は父に付いて仕事を学んでいる。

ロベルトは、もうすぐ学園を卒業して叔父の仕事を学ぶ予定だ。

どちらもイケメンな兄弟だよな~


ちなみに、どちらにも婚約者はいて

ウィリアムにいたっては、父の仕事を引き継いだ後結婚する予定だそうだ。



さて、俺が考え事をしているうちに親子や兄妹の再開が終わり

屋敷の中へ案内される。







ここまで読んでくれてありがとう。


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