第2話 不思議な少年
「あなた、誰?」
「俺は・・・わからない。」
少年は呆然と立ち尽くしながら言った。
「今の、何?それって・・・。」
亜李沙の上にいたソレと手にしている銃。
そのどちらもこの世のものではない気がした。
この少年も、きっとそう。
「気がついたら、体が勝手に動いて、たんだ・・・。」
バタッ。
少年はそう言い終えると倒れてしまった。
亜李沙もまだ気を失ったまま。
どうしたらいいのか、わかんない。
「う・・・ん。ま・き・・・。」後ろから声がした。
「亜李沙!?」
「まき・・・大丈夫?」
「大丈夫は亜李沙の方だって!!」
「ねぇ、そこの少年は?」亜李沙の声にはっとした。
・・・忘れてた。
亜李沙が目を覚ましたから、そっちに気をとられて・・・。
「わからないけど・・・私たちを助けてくれたの。」
「そう・・・なんだ。」
ここにいてもどうにもならないし、とにかく安全なとこへ連れてかなきゃ。
「亜李沙、ごめん。手伝って。この子運ばなきゃ。」
「どこへ?」
「・・・とりあえず家。」
もうきっとママも仕事に行ってる。
早く人目のつかない所へ行かないと。
そう思いたどり着いた先は自分の家だった。
―「・・う・・・。」
「目、覚めた?」
「あぁ・・・。ここは?」
「私の家よ。さっきはありがとう。助けてくれて。私、万妃南。みんなは、まきって呼んでる。」
「俺は・・・。」
少年は記憶喪失のよう。
名前も、なぜあの場にいたのかも、何もわからない。
私もどうしていいか分からず、途方に暮れた。
「私、学校行くね。今からなら昼の授業、間に合うから。」
ホントはダメだけど、少年は悪い人ではなさそうだから。
授業が終わったら、すぐに帰れば大丈夫。
そう自分に言い聞かせ、家に見知らぬ少年を残し、学校へと向かった。