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箱庭の薬術師  作者: ぷにちゃん
第3章 呪いの歌
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1. 夢の少女

「そうして、女神レティスリールは深い眠りについたのです。ふぅ…読み終わったぁ〜!」



 パタンと読んでいた本を閉じて、座っていたベッドへとそのまま倒れ込む。

 結んでいない髪がベッドに広がるが、特に気にしない。現在は夜の10時頃だろうか…辺りは暗く、窓からは綺麗な三日月が見える。

 レティスリール様を捜すと決意したけれど、まったくもって何から初めて良いのか分からない。どうしようかと部屋で1人唸っていれば、本屋さんで精霊さんに選んでもらった本のことを思い出した。読もうと思っていたのだけれど、忙しいのも有りすっかり忘れて…いや、後回しにしていたのです。



 私が本の精霊さんに選んでもらった本は3冊。それと精霊さん手作りの本が1冊。

 《女神レティスリールと宝石華》

 《始まりの家》

 《薬草栽培と調合》

 《僕の本》



 とりあえず、今日の夕方から一気に《女神レティスリールと宝石華》を読みました。バイト三昧だった私は本を読むのが得意ではなかったんだけど、この本は割とすんなり内容が入って来て読みやすかった。

 肝心の本の内容だけれども、居場所の手がかりになるような記述は残念ながら無かった。



「レティスリール様と、青年の恋物語かぁ。すごいロマンチックな話だけど…まさかハッピーエンドじゃなくてバッドエンドだなんて!」



 そう、これはレティスリール様の淡く切ない恋物語。

 恋愛小説にドキドキしつつ、幸せな最後を夢見て読み進めれば、なんと青年はレティスリール様を捨てて違う女と結婚したのだ…!! なんという、私の期待を返せー! と、叫ぶほか無い。



 まだレティスリール様が人間と仲良く暮らしていた時、レティスリール様と青年が恋に落ちた。

 仲睦まじく、幸せな毎日を過ごしていた。レティスリール様も、青年も、笑顔だった。

 そして、青年が「結婚して下さい」とレティスリール様に送ったのは婚約指輪だった。もちろん、それを受け取るレティスリール様。

 しかしその後、青年は他の女と結婚する。解せぬのです。ぬぬぬ。しかも前触れが有る訳ではなく突然。そう、突然レティスリール様が振られたのです…! さらに解せません。



「もやもやもやもや〜する〜〜うぅぅ」



 ぐるぐるとベッドの上を転がりながら、なんとなく取れないもやもや。

 とはいえ、私自身に彼氏が居た過去がないので想像やなんとなくでしかないのですけれどね。



「でも、宝石華って… レティスリール様が好きな人に貰った婚約指輪だったんだ…」



 どうして宝石華という名前なのか説明は載っていなかったけれど、きっとこれは世界に1つしかない大切な指輪なのだろう。そうなると、探し出してレティスリール様にお渡しするのは難しいのではないだろうか。

 うーん。しょっぱなから不安なスタート! です。



「あとは… 先に精霊さんの本を読みたいけどちょっと眠いなぁ…」



 あまり夜更かしをしない生活の為、以前と違い深夜まで起きていられない。これはおこちゃま化なのだろうか。理由はないけど、ちょっと焦る。あの、クリスマスにサンタさんを待ってるのに、気づいたら朝だったとか、紅白を最後まで見れないとか。



「まぁ、考えてもしょうがない。明日起きたら読めばいいや」



 ポジティブに行かねばです。

 ということで、私はベッドの横に置いておいた交換日記を手に取った。



【所持ポイント:1,320】


【鉢植え:小】 1

【鉢植え:中】 10

【鉢植え:大】 20

【野菜の種セット】 10

【果物の種セット】 10

【ハーブの種セット】 10

【小麦の種】 50

【稲の種】 100

【レンガ:1個】 5

【噴水 - バージョンアップ】 2,000

【テラス席セット】 3,000

【瓶:100個】 3

【部屋】 50

【お風呂 - 増築】 5,000

部屋ひなみ - 増築】 2,000

部屋イクル - 増築】 2,000

部屋まろ - 増築】 2,000

【屋上 - 増築】 10,000

【地下室 - 増築】 30,000

【調合室 - 増築】 15,000

【箱庭の扉 - 増築】 100,000



「ポイント、稼がないと…」



 まろの部屋を作って、なんとなくお水が有ると良いかと庭に噴水を設置してみた。お花の形の可愛いやつでした。

 そうしたら、ポイントはご覧の通りすっからかーんなのです。むしろ少し足りなくて回復薬(ポーション)を作ったのだけれども。



「特に新しいものは無いかな… 箱庭の扉が増やせるのは良いけど、ポイント10万は高すぎる…!!」



 ちなみに最初の箱庭の扉はポイント5万でした。倍です!

 というか、これ以上家を増築したらどうなってしまうのだろうか。最終的にお城になるのではないかと思うのですがどうだろう。あ、でもお風呂はイクルも好きだし早めにもう一段階増築出来たらいいなぁ。



「神様… 私、がんばります…ぅ…すー…」



 本を読んだことを交換日記へ記したところで、私の意識は深い眠りに落ちたのだった。







 ◇ ◇ ◇



 ふわふわふわ。

 ここは、どこだろう…?



 私の足下には、色とりどりの花が咲き乱れ、遠くの山には綺麗な虹が掛かっている。

 レースの付いたゆるいワンピースに裸足という自分の姿を見て、首を傾げる。

 私は何をしていたんだっけ?



「そう、花を助ける為に〈レティスリール〉に来て… あ、そうだ。神様との交換日記を部屋で書いてたんだった!」



 あれ、その後どうしたんだっけ? 書き終わって寝たのかな?

 ということは。



「あ、これは夢か〜!!」

「なんだか楽しそうね」

「うわっとおぉぉ!?」



 び、びっくりした!

 夢だし花畑を駆け巡ろうとか阿呆なことを考えていたら隣から声が掛かった。



「こんにちは」

「あ、こんにちは…」



 花のような笑顔が可愛い、少女だ。年齢は…今の私と同じ15歳くらいだろうか。

 ふわふわしたピンク色の金髪で、その長さは少女の足首まであった。白を基調にしたドレスは、なんと言っただろうか…そう、エンパイアラインドレス。ふんだんに使われたレースと花が、少女を儚げに見せているようだった。



「貴女はだぁれ? 私は、レティスリールよ」

「私はひなみ…って、レティスリール様!?」

「ひなみはよく驚くのね」



 くすくすと笑う可愛い少女は、レティスリールと名乗った。あれ、女神様…? いや、すごい女神ですって言われたらかなりしっくりまったくもって納得のお姿ではあるのですが。いきなり過ぎて頭が付いていかない。



「ずっとここに1人だったから、誰かとお話をするなんて久しぶり」

「ずっと?」

「えぇ。最後に誰かとお話をしたのは…500年くらい前に(はる)君とお話したのが最後だったかしら」

「ごごご、ごひゃくねん…!?」



 これは本物のれティスリール様だ、間違いない…!

 でもどうして姿を隠しているレティスリール様に出会うことが出来たんだろうか。それとも、これは純粋に夢なのだろうか…?



「そうなの。私、大好きだった人に貰った指輪を無くしてしまって…」

「う、うん…」

「それが悲しくて… 弱いわね、私」

「い、いえ… 大切な物を無くす悲しみは、他人には分かりません。レティスリール様には、それがとってもとっても、大切な物だったんでしょう?」



 悲しく微笑んで、「優しいのね」と小さな声でレティスリール様が言うのを耳でとらえて、私まで切なくなってしまった。



「あぁ、いけないわ。もう眠らないと…」

「えっ!?」

「せっかく会えたのに、おもてなしも出来なくてごめんなさいね。でも、ここに来たって言うことは、本の精霊のルヨンに会ったのよね」

「あっ! そう、私… 本をいただいたんです!」



 眠そうな顔のレティスリール様の言葉に驚きつつも、本の精霊さんに貰った本を思い出す。あれはレティスリール様の恋物語。この世界へくる為のキーポイントだったのだろうか…!?



「レティスリール様、私、貴女に会いたいんです…! どこに行けば会えますか!?」

「まぁ…私に? あ、駄目…もう…眠らなくちゃ」

「レティスリール様…!」



 水色の綺麗な瞳が閉じられると同時に、私の足下が崩れ落ちた。

 これは、レティスリール様の世界が、閉じてしまったのか。





「レティスリール様っ!!!」



 はぁ、はぁ、はぁ。

 思い切り声をあげて叫び、私は体を起こした。



「……あれ?」



 ベッドから上半身を起こして、手を前に伸ばすというちょっと残念な格好の私。

 あれれれ、あれ。というか、やはりあれは夢だったのかな…? まぁ、そう考えた方がしっくりくるんだけど、妙にリアルだったのが少し気になる。



「うーん… 夢? それとも不思議現象??」



 よくわからない。

 まぁ、こればかりは考えても仕方が無いから、イクルに話をしてみよう。それから、本の精霊さん…ルヨンさんに会いにいこう。

 背伸びをして、タンスから服を取り出して着替える。相変わらずのワンピースだけど、最近は少し冷えるのでニットタイプの物を選ぶ。うん、暖かい。最後にふわっと髪を服から出せば、右手の小指にある指輪がシュルンとリボンになって、私の髪をまとめてくれる。今日は両サイドが編み込まれ、頭の中央にカチューシャの様にリボンが結ばれた。



「可愛いけど、自分でするのは恥ずかしい…」



 部屋に設置されている鏡で自分を見れば、ちょっと恥ずかしい。



「さて、交換日記を見てから、朝ご飯をー…」



 あれ?



 あれれ?



 あれれれれ?



「交換日記、私全部書いてない」



 机の上には、開きっぱなしの交換日記。そして書き途中の分に、転がっているペン。

 でも私はベッドに寝ていた訳ですよ。部屋にはもちろん鍵が掛かっているし。まさかこれが噂の密室殺人事件では…!? って、誰も死んでいない。もしかして…神様が…いや、考えるのは止めよう! きっと自分で寝ぼけてベッドに行ったんだ、そうに違いないです!



「よし、朝ご飯にしよう…!」



 ちょっと自分の頬が熱くなった感じがしたが、首を振って何も無かったことにする。夢のこともあるし、本の精霊さんのこともあるし…今日はなんだか忙しくなりそうです!

 っと、本の精霊さんのところに行く前に本も読まないといけませんね! むむ、私、がんばるよー!!



 コンコン。



「ひなみぃ〜!」

「あれ、まろー?」



 リビングに行こうとしていたら、どうやらまろが呼びに来てくれたようだ。ノックと共にまろの声が聞こえたので、すぐに扉を開いて「おはよう」と挨拶をかわす。

 綺麗な白い髪を小さなお団子にして、ホットパンツスタイルのまろ。いつもは小さなツインテールとワンピースなのに、ずいぶん珍しい格好をそしている。可愛いけど。



「今日は庭で宝探しをするのである!」

「…うん?」



 鼻息をふんと爆発させる勢いで意気込んでいるまろは、なんだかとってもどやどやしかった。

 というか、庭に宝物が埋まっているんですか?

3章です!

小話を書ききれていなくてごめんなさい…!

明日からまた更新していきますー!

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