第九十八話 プレゼントです
全員で誕生日の歌を歌ってくれて、泣きそうになってしまい真琴が背中をさすってくれました。
知らされていたのか、信三郎さんが私の年齢の数のブルーローズの花束をくれました。花言葉は夢叶うだそうです。
早良君まで用意していてくれまして、ガラスの白鳥の置物でした。うっすらピンク色で頭に小さな王冠が載っているんです。可愛いですね。
陣海さんのお兄様からは何かのチケットをいただきました。なんでしょう、これ。
「何なに? デートできる券……、お兄様。さっき何を書いているかと思ったら……」
陣海さんが私からチケットを取ると破ってしまいました。
もらっても困ったのは確かですけど……そこまで細かく破らなくても良いのではないでしょうか。親戚の方がさっとゴミ箱を持ってきています。
無口なお兄さんがそれでもニコニコ笑っています。
そしてもう一枚チケットを取り出しました。
「宿泊チケットみたいですけど……これはどこですか?」
住所も書かれておらず、ただコテージらしき写真の上に宿泊無料チケットとプリントされているだけです。
首を傾げていると、陣海さんが深くため息をついた後、またもやチケットを破り捨てました、
「お兄様、冗談もほどほどになさってくださいね。これ、うちが所有する島のコテージではありませんか。しかも二名しか泊まれない方ですよね」
なるほど、これは陣海家所有の島にあるコテージですか。
綺麗に撮れてますけど、お兄さんが撮ったんでしょうか?
何をやっているのか不思議に思った方々が、どんどん周りに集まって来ていました。
そんな中、次に取り出した紙に全員が絶句しました。
「こ、婚姻届……」
しかもお兄さんの名前入り。陣海さんは細かくするだけでなくデッキに出て灰皿で燃やように親戚の方にお願いしていました。バトラーの方が小さな消火器を持ってついて行くのが見えました。
「…………お兄様、陽向さんの半径二メートル以内に接近禁止!」
ビシッと陣海さんが言うと、お兄さんがようやく口を開きました。
「冗談だよ冗談、本当はこっち」
ポケットから取り出した箱を開けると、幅の広いブレスレットが入っていました。
「これは?」
「これは携帯と連動していて、ここを押すと設定した家族や友人へと緊急を知らせることができるんだ。君が手甲をしていると聞いたので代わりになる様、丈夫に作らせた」
説明書と一緒に箱ごと渡されました。
「音はならない。だがGPSも搭載しているので便利だ。船上でつけることは美奈が許可しないだろうが、地上に戻ったらぜひ使ってくれ」
「あ、ありがとうございます」
「これは、陣海家からのお詫びの品でもある。学園にも許可を取ってあるから、ぜひつけて欲しい」
「手回しが早いですわね、お兄様」
「まあね。いつもつけていてくれなくては意味がないし」
設定は後にしまして、さっそくつけて見ました。
「見た目ほど重くないですし、細い鉄パイプくらいなら受けれそうですね」
「いや、そこは受け止めずに逃げようか」
お兄さんの言葉に、私以外の全員が頷いていました。
だって、手甲の変わりって言ったのはお兄さんじゃないですか……。
ブルーローズって一本3000円だそうです……!




