表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
8/302

第〇〇八話 教室です


 朝のミーティングを終えて、一年生を残し二、三年生は生徒会室を出ました。

 階段を上りつつ、真琴に止められなければ危うく一年生のフロアまで上がって行くところでした。

 習慣とは恐ろしい……。

「真由と話しながら階段を上ってるからだよ」

 そう言って真琴が笑いました。

 教室は一組なので右側へ曲がります。

 真琴と真由ちゃんも付いてきたので、一組なのか……と期待したのですが、そうは問屋がおろさない……でした。


「ぼくは二組」

「私は三組」

「あぁぁぁぁ」

 クラスが離れてしまいました……。

「仕方ないよ。生徒会はどうしても仕事があってクラス内の仕事ができないから、バラバラに配置される運命なんだ」

 一年の時は少し立ってから入ったので、仕方なかったのですが。

 そうですか……三人一緒に修学旅行を回れるかと期待したのですが残念です。まあ、自由時間もありますし何とかなりますか。

「秘密なんて言うからてっきり同じ組だと思っちゃった」

「ごめんね。あの時がっかりさせたくなかったの」

 真由ちゃんがしょんぼりとして言います。

「あぁぁ、怒っているわけではないから! 生徒会で毎日会えるし」

「うん!」

 真由ちゃんが元気になったのでほっとしました。

「それじゃ、また後で」

「うん」

 それぞれのクラスの前で別れて私は一組へと向かいました。

 教室へ入ると、席は結構埋まっています。教卓の上に置いてあった紙に、出席番号順で座るように書いてあったので確認しますと、廊下から三列目の一番後ろでした。

 男女混合なので、速水君が私の左隣です。隣なのですが、風紀委員の仕事があるのか、まだ来ていませんでした。


 新しいクラスメイトと挨拶を交わして席に着くと、女子のボルテージがやたらと高いのに気づきました。

 一組内の温度が高いような気がしますよ。

 一組にはどうやら速水君以外に男子が一人だけのようで、その男子がとても居心地悪そうにしていました。

 何でしょうこの温度。

 右隣の席にいた子が、以前の一組にいた湯江奈津子さんだったので、聞いてみました。

「あぁ、それはね。担任のせいよ」

「担任……って誰? 紙にも書いてないけど……」

「さっきサイトを見たら載ってたよ」

 言われて携帯を取り出して見てみました。

「……篠田三雲……って、えっ」

「その様子だと、どんな先生なのか知ってるのね?」

「ええ、職員室で会ったけど」

「今日職員室に行った子がね、篠田先生らしき人を見て報告したものだから騒ぎになってるみたい」

「……あぁ」

 若い先生というだけでも浮き足立つ人がいるでしょうに、眉目秀麗ときたら騒いでしまうのも仕方ないかもしれません。

「どんな先生だった?」

「えーと……」

 きっと今日も自己紹介するのでしょうから、言わない方がいいのでしょうか?

「かっこいい先生だったと思う」

「だったと思うって……陽向さん」

「だって、顔の造形って人によって基準が違うから」

「そりゃそうだけど」

「なんか面白そうな先生だったよ? まさか一組の担任になるとは思わなかったけど」

「ちょっと楽しみだわ」

 ニヤリと笑って奈津子さんは携帯を見ます。

「学園内でもそろそろ噂になってるみたい」

 そうです、奈津子さんは情報通でした。

「奈津子さんですら、写真の入手は無理でしたか?」

「私ですら……という言葉に色々言いたいことはあるけど……まあいいでしょう。西福先生と同じ賃貸マンションに住んでるらしくて、一緒に通勤してるのを気づかなかったのは失敗したわ。学年主任だから、張り切ってるのかしらね? 無駄に目立つ車に乗ってるから、そっちに気が取られて今まで誰も気づかなかったのよ」

 そうなんです、悟さん黄色のスポーツカーに乗ってるんですよ。

「……えっ……学年主任になったの? 初耳」

「興味が引かれるのはそっち?」

「昨日も職員室で会ったのに、何も言われなかったから」

「まぁ陽向さんは西福先生とプライベートで知り合いだものね」

「学年主任……。これは何かお祝いをしないと!」

「うん、陽向さんはそのままでいてちょうだい」

「え?」

「いえいえ。ところで、そろそろ朝のホームルームだけど速水君来ないわね」

 教室の黒板の上にかかっている時計をみると、もう一分もありません。


 どうしたのかな? と思っていると、ドアが勢いよく開いて駆け込んでくる速水君がいました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ