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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第五十五話 疲れました



 ある程度の挨拶が終わると、別室で休むように言われました。

「大丈夫ですよ?」

「少し疲れた顔をしているよ。一宮さん、悪いけど陽向ちゃんを連れて行ってもらえるかな?」

「ええ、もちろん」

 福田会長に教えてもらった部屋は、芹会長が納涼祭が始まる前にお願いして用意してもらった部屋だそうです。

「芹会長って優しいね」

「うん」

 ソファが置いてあって、そこで横になれるようにしてくれたようでブランケットもありました。

「こっちに座っているから、休んで」

「和香は会場に戻って。大人しく休んでいるから」

「だーめ。陽向はすぐ我慢するからね。はい、横になった横になった」

 枕も用意されているところを見ると、やはり横になる前提で用意されていたみたいですね。

 後でお二人にお礼を言わないといけません。

「少し顔色悪いよ、何か飲む?」

「大丈夫」

 横になって枕に頭を乗せるとふんわりとラベンダーの香りがしました。確かラベンダーは心地よい睡眠を促す作用があると聞いたことがありますね…と思っていたら眠っていたようです。

 和香に起こされて気づきました。

「わ…か?」

「うん。顔色だいぶ良くなったみたいだ。起きれる?」

「うん」

 お水を手渡してくれたので、お礼を言って三口ほど飲みました。

「どれくらい立った?」

「三十分ちょっとかな。口づけで起こした方が良かった?」

「観客がいないときにはやらないでしょ」

「ははは、ばれてたか」

「五年弱友人やってるからね」

「そうだね」

 和香の手に掴まって立ち上がるとブランケットを畳んでソファに置きました。

「何ならお姫様だっこで会場に戻ろうか?」

「却下。そもそも持ち上げられないでしょう」

「これでも鍛えてるんだよ? 陽向くらいならできると思う」

「却下。どちらにせよ注目されるのは嫌」

「残念。女の子達が喜んでくれそうなのに」

 絶対写真撮られるじゃないですか。お断りです。


「そういえばさ、どっちが速水君?」

「えっ?」

「風紀委員二人来てるでしょ、どっちも男子だからさ。どっちかなと思って」

 風紀委員の二人は真琴と真由ちゃんの方にいるはずです。先ほどのテーブルには修斗先輩がいましたからね。

「どちらも違うよ」

「そうなの? 残念」

「速水君の写真見せたことなかった?」

「うん。陽向の話に時々出てくるから、一度会ってみたいと思ってたんだけどな」

「夏休みの中程に速水君達と旅行に行くんだけど、和香も来る?」

「今からでも大丈夫なの?」

「たぶん大丈夫だと思うよ。大きな部屋に布団を敷くみたいだし」

「そう? それじゃ聞いてみてくれる?」

「うん」

 善は急げと言うことでさっそく電話をしてみました。一旦切って早良君に連絡を入れてくれたようで、数分後にかけ直してくれました。

「大丈夫だって、行く?」

「うん、行く」

 日にちを言うと予定が入っていないとのことで、和香も参加することになりました。

 速水君達の方も他校の生徒を連れてくるそうですし、何だか大部屋で寝るなんて小学生の修学旅行以来なので楽しみです。中学の時は大部屋ではありませんでしたからね。一部屋に確か五人でした。

 じゃんけんでベッドか布団かを決めて、私と和香がベッドでしたっけ。その部屋はベッドが二つに座敷に布団を三つ敷くところだったのです。懐かしい思い出ですね。

「三日後に北海道だよね」

「うん」

「体調には気をつけてよ」

「ありがとう」

「楽しみにしてる」


 にっこり笑いあって、その部屋を二人で出ました。



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