第〇〇四話 入寮です
荷物が少ないので一時間もかからずに引っ越しが終わりました。女子寮なので運んでくれたのは女性でしたね。
クローゼットに入って、制服がすでにかけられていたのには少々驚きました。
今回の生徒会特別制服は二年生なので裾が赤です。私の制服は裾がレースになっているので、若干薄い色ですね。腰のあたりにある蔦のような刺繍のところどころに赤いバラ……。
あれ……? 一年生の時はバラなんてありませんでしたよね。
明日から生徒会の仕事に復帰するので、その時にでも芹先輩に聞いてみましょう。
服の整理も終わり、勉強部屋の整理をしているとドアをノックする音が聞こえました。
慌てて部屋のドアを開けに行きますと、真由ちゃんと真琴が立っていました。
「お疲れさま。一緒にお茶を飲もうと思って」
にっこり笑った真琴の手にはお菓子が入った駕籠が!
「どうぞ、入って」
これからは、こうやって一緒にお茶を飲んだりお話したりできますね! 何て喜んで入ってもらったところ、何故か後続が……。
あ、あれ?
真琴がお菓子の駕籠をテーブルに置いて、真由ちゃんが白い箱をテーブルに起きました。
その後に、あきらかに生徒じゃない黒い服の女性が二名。
花と花瓶を持った人が一人、わさっと大きな花束なので女性の顔が見えづらくなっています。ここまで運ぶの大変だったのじゃないですか?。
それから籐でできた取っ手がついた箱を持っている人。
部屋へ入ったかと思うと、二人はセッティングを始めました。
「その花は生徒会からの引っ越し祝いだよ」
花瓶に入れて飾ってくれました。
その後、二人でお茶を入れたり真琴と真由ちゃんが持ってきたお菓子やケーキをお皿に載せてくれたり……。これってメイドさんですか?
ちなみに籐の箱は茶器の入れ物でした。
うん……確かに私の部屋にはマグカップしかありません。
ため息を付いて紅茶を飲みました。
「このカップのセットはぼくと真由からのプレゼント」
「えっ?」
「ここにいるとお茶会は結構あるんだ。あ、そんなに畏まらないただの集まりだから、大丈夫」
ある意味助かります、マグカップ二つしか持ってきていませんでした。
「陽向の部屋でやることもあるだろうからさ。寮のを借りることもできるけど、ここ七階だし」
そうですね、一階まで行くのはとても面倒です。
「ありがとう」
「ふふふ、どういたしまして」
「新一年生の引っ越しもあったんでしょう?」
「うん、でも中旬には終わっちゃってるよ」
今日は三月末です。どうりで静かだと思いました。
「一年生の時の制服は今日までだからね、明日から新しい制服だよ」
「そうね」
「新しいの見た?」
「見た。来たときには届いていてビックリしたんだけど」
腰のバラの刺繍の話をすると、真由ちゃんが何か言いたげな目をしていましたが、何も言いませんでした。
何でしょう。
「丁度、赤い色だから綺麗だろうね。明日楽しみにしてるよ」
「ええ。真由ちゃんはまだ袖を通していないの?」
「えっ、う、うん」
「そう……」
「蝶ヶ原君が陽向に会えなくてがっかりしてたよ。四月からだって言ったら張り切ってた」
そういえば、電子機器の扱いを教える約束をしていましたね。
「……大丈夫だった?」
少し心配になって尋ねると、真琴が小さく笑いました。
「まぁ、今のところは。何で壊れるのか分からないんだけどね」
「相性が悪い人ってたまにいるよ」
真由ちゃんがお茶を飲みながらのんびりと言います。
本人は必死なんですよ、真由ちゃん。
「陽向の言ってたように、タブレットにしたのが良かったのかも」
「なるほど」
いよいよ明日から新生徒会が本格始動です。
今まで休んでいた分、バリバリ働かせていただきます!
1の初期で一年生の色が赤だと書いてしまったのを
今頃間違っていたことに気づき訂正しております
正しくは一年生が青、二年生が赤、三年生が金です




