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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第二十七話 何ができますか



 休憩が終わる頃、後藤田先生から電話がかかってきました。

「もしもし? ええ、はい。…そうですか。ありがとうございます」

 通話を切ってポケットにしまうと芹先輩が私の答えを待っていました。

「今年は友千鳥だそうです」

「そうか…うーん」 

 友千鳥高校は一番遠い学校ですもんね。泊まりがけとはまではいきませんが、少し遅くなるでしょう。

「友千鳥に何かあるんですか」

 葛城さんが興味を引かれた様子で聞いてきたので、純君が説明しました。

「毎年交流のある高等学校の生徒会が集まる日あるんだよ。納涼祭と言って昨年は泉都門だったんだ」

「今年は友千鳥高等学校ってことなのね」

「そうみたいだね」

 純君が頷くと葛城さんの目がキラキラ輝きました。

「今年は…ボクと修斗と陽向ちゃん、それから一年生を一人くらいかな」

 バッと葛城さんが手を上げました。

「葛城さんはまだ(仮)だからね?」

「納涼祭までには(仮)を取ってみせます」

 芹先輩がため息をつきましたが、私にやたらと突っかかってくる以外は、特に問題もないように感じるのですが。

「新歓のお手伝いは良いんですか?」

「新入生歓迎会だから、一年生に手伝ってもらうのはねぇ。昨年も二・三年生でやったし大丈夫だよ。用意は終わってて最終チェックだけだから。一年生として楽しんで」

 新歓が終われば本格的に忙しくなります。今でも忙しいですけど、さらに忙しくなるんです。

「さて、それじゃ仕事を始めようか」

「僕たち部室棟に行ってきます」

 康君と純君が生徒会室を出て部室棟へと向かいました。


 さぁ、私もお仕事です。


「葛城さんはこのカップの片づけをお願いします」

「は? 何でそんなことしないといけないんですか」

 何でって、他の仕事がないからですが。

 生徒会室にも小さいとはいえ食器洗い機があるので、そこへ運ぶだけですよ。ちなみにカップが少ないときは手で洗うこともあります。その方が早いですからね。

 今日はケーキのためにお皿も出したので、食器洗い機にしようと思っているのですが。

「私にもタブレットかパソコンをください」

「えーとね。(仮)の人に重要なものは見せられないんだけど」

 芹先輩がため息交じりに言いました。

 新年度の部活の部長さんとか副部長さんとかの名前を申請してもらったものをまとめているところなので、見せられません。何年何組であるかとかも書いてありますし、連絡用のアドレス電話番号も書いてありますので。

「じゃぁ何をすればいいんですか」

「だから、カップの片づけ」

 むっとしたような顔を葛城さんがしたので、私もため息をついてお皿を片付け始めました。真由ちゃんも手伝ってくれて食器洗い機に入れます。

「後藤田先生のところに新しく申請書が届いていると思うから、真琴君取ってきてくれる?」

「わかりました」

 私と真由ちゃんが片付けている時に芹先輩がそう指示を出しました。

「私も行きます」

 葛城さんが手を上げましたが、芹先輩は首を横に振りました。

「言ったよね? 一応重要書類だから、見せられない」

 テーブルを拭いた後、手を洗って席に戻ると葛城さんにギロリと睨まれました。

 真琴が生徒会室を出て行くと、ホールの方から連絡が来て私が行くことになりました。

 

 確認を終えて生徒会室に戻ると、仕事をしている先輩たちをよそにソファに座って一人お茶を飲む葛城さん。

 私の後から帰ってきた純君がそれをみて、葛城さんに近づきました。


「な、に…やってるの葛城さん」



重要書類以外は手伝ってもらっていますが、重要書類ばかりなので

任せられない仕事が多いという現状。

そうなると残るお仕事は…?

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