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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第二百十話 中学校時代の話


 

 中学校二年の時だったと思います。 

 学校祭のクラスの出し物が劇に決定して、さらにくじ引きで決められることになった時に、運が良いのか悪いのかお姫様を引き当てたのが私だったのです。

 和香が王子様なのは、クジを引かずとも決定されていたのですが。

 

 演目はオリジナル作品でした。


 シンデレラや白雪姫などの定番の演目も名前は挙がっていたのですが、王子様の出番が少ないもしくは後半に偏りすぎているとの意見がありまして。

 結局オリジナルとなったわけです。


 同じクラスで友人でもあったので、お互いに悪のりしてしまい。学園祭が終わっても一緒に歩くときはエスコートをしてもらったり腕を組んで歩いたりしておりまして、自分たちが三年生になった頃に一年生が和香の名前を知らなかったために“若”と勘違いして……ほら、よく時代劇などでじいやさんなどが若い当主や跡継ぎのことを呼ぶじゃないですか。そちらの若様と思ったようです。それで“若様”と呼ばれるようになったのでした。まぁ、三年生の時の劇の演目が和風だったせいもあるかもしれませんけど。


 言っておきますが三年生の時のお姫様役は別な人だったんですよ?


「ふうん、それでも陽向ちゃんが姫様って呼ばれたんだ?」

「ええ、まぁ」

「どうして?」

 言わなきゃだめですかねえ?

 皆の期待の視線が痛いのですが……そんなに凄い理由でもないんですよ。

「暴走する和香を止めるためにハリセンを持っていたんですけどね。テレビのバラエティのような大きなものは学校に持っていけないので、小さいのを作ってもっていったんです、その、扇子くらいの大きさのを」

「あぁ、そういえば去年の納涼祭でも持ってきてたね」

「はい」

 そのハリセンは普段はゴムバンドを掛けておいて開かないようにしておいたものをポケットに入れていました。使うときはバンドを外すわけです。

「そのハリセンをポケットから出すときにバンドをはずしながら出すと、扇子を持っているようにも見えたんだそうです」

 付いたあだ名がツッコミのお姫様。略してツー姫。

 そう、黒歴史です。

「へぇ、今ではボケ役の陽向ちゃんがねぇ」

「そうなんですよね……って私ボケ役じゃありませんけど」

 それでも毎回ハリセンで叩くわけにもいかなかったので、実際に扇子を使うこともありました。もちろん叩くのに使うのではなく、和香と相手の顔の間に開いた扇子を出して視線を遮ったりなど。その扇子の開き方を見た後輩たちが、益々姫様というあだ名を広めてしまったのでした。


「あー。確かに陽向ちゃんって綺麗に扇子を開くよね。あの、バッと一気に開く時かっこいいなって思うよ」

「そうですか?」

「うんうん。だから鉄扇を贈ったんだけど」

「その節はありがとうございました。大変役に立ちました」

 ちなみに、現在鉄扇はポケットに入っております。もちろん学園側に許可はもらっていますよ。無闇に出さないことが条件ですけどね。


 なので皆さん。期待の目で見ても出しませんからね!



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