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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第二十一話 入学式朝です


 目が覚めてカーテンを開けると良い天気でした。

 良かった。

 雨になると、色々と大変なんです。

 

 制服に着替えて腕章を付けるのを忘れずに、鏡の前で確認して部屋を出ました。


 自分も昨年出たので知っていますが、泉都門学園高等部入学式に在校生は参加しません。ほぼ中等部からの生徒だからです。

 保護者の方の参加が実は必須で、式が終わった後に保護者のみのパーティがあります。

 私の時は伯父である龍矢さんが出てくれました。

 そのパーティは結構長い時間行われるので、学園敷地内にある宿泊施設に泊まって行かれる方もいるのです。その手配も私たちの仕事でした。

 後藤田先生……丸投げやめてください。

 外部生の保護者の方は、このパーティに目を白黒させることになるのですが、内部生だからとか外部生だからとかいうものはなく、自由に歓談するのだそうです。

 龍矢さんも色々な方と話したと教えてくれました。

 

 今日は生徒会に寄らずに、直接ホールへと向かいます。在校生はお昼前までとはいえ、普通に授業があるのですよ。

 生徒会は入学式のために、特別単位がもらえます。


「「「おはようございます」」」

 真琴と真由ちゃんと三人で控え室に入ると修斗先輩と芹先輩がすでに来ていました。

「「おはよう」」

 今日の進行表を見ながら確認していたようでした。

 まだ午前八時頃なので、新入生と保護者の方は来ていませんが、後一時間ほどすると集まり始めます。

 生徒は九時までに登校する事になっていますが、保護者は十時に始まる入学式までにホールに入れば良いことになっています。

「それでは、私は門に行ってきます」

「うん、これ持って行ってね」

 高等部の門のところで外部新入生用の案内所がつくられています。内部生用は寮の前に作られていますよ。

 お手伝いの方と私のための水分補給用ドリンクが入った鞄を受け取って、門へと向かいます。

 今日は晴れているので気温も上がりそうですね。

 門まで距離があるので自転車に乗りました。

 自宅から登校用に使っていた自転車です。

 もちろん許可を得ています。内部生で私のように自転車を構内で使う人も結構いるようです。

 門前について、特設のテント裏に自転車を置きまして、中へと入るとお手伝いの方がすでに用意を終えていました。

「遅くなりました」

「あ、水崎さん、おはようございます」

「おはようございます」

 このお手伝いの在校生にも特別単位がでますよ、もちろん。

 私を含めて二年生が三名、三年生が三名。そして一年生学業担当の担任ではない先生が二人、こちらのお手伝いに来ます。

 能美先生と金田一先生のお二人でした。

 寮の受付テントの方には真由ちゃんが、ホール入り口の受付は真琴です。


 私はテント内の椅子に座ると、ここを通るはずの新入生名簿を確認しました。

 今年は三十八名ですね。

 寮前テントの方が大変そうではありますが、外部生は何も知らずにやってくるので三十八名とはいえ色々問題が起こる可能性があるそうで。さらに保護者の数も加えると、完全にこちらの数が多くなります。

 五年前の話ですが、そもそもの門を間違えて中等部の門に行ってしまったり。中へ入ってホールにたどり着けなかったり。

 案内人がいるにも関わらずですから、まぁ興味が引かれるものがあったのでしょうけど。はぐれても迷わないように案内板があるのです。それでも迷ったというのですから、生粋の方向音痴じゃないでしょうか。この生徒を発見するのに時間がかかって入学式が三十分遅く始まったそうですよ。

 それで、次の年から案内人が二人になりました。

 泉都門を知らない人からすると「幼稚園児じゃないんだから」と失笑されるのですが、いえいえとんでもない。泉都門の広さは中高大を入れると街ともいえる広さです。

 迷うと大変なんですよ。

 なので皆さんの携帯には泉都門の地図が入っているはずです。あちこちに、かざすと現在地を教えてくれるアプリがあるのです。泉都門専用アプリですね。

 泉都門のホームページに行くと、構内を走るバスの到着時間なども教えてくれますし、学食の混み具合を知らせてくれるものあったりします。


「二時間ちょっとではありますが、気温が上がりそうなので水分補給を忘れないようにお願いします」

 簡易冷蔵庫にドリンクを入れて、そう声をかけました。



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