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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第二百九話 お姉さまって?



 三人が生徒会室を出て行ってから、あまり引き延ばすと面倒になりそうだと思い手紙を読んでみることにしました。


 一枚の便せんに縦で「お姉さまになってください」と書いてありました。


 横線が入った便せんに縦で大きく書くセンスが良くわかりませんが、インパクトはあったでしょうか。

 ちなみに封を切る前に、何か入っていると言っていた物はシールでした。

 例の文章の後に太陽のシールが貼ってあったのです。


「……えーと」

 全員がのぞき込んでいたので、何か言おうと思ったものの……結局出てきた言葉はそれだったのですが。 皆も同じだったらしく、生徒会室にはしばらく静けさが続いたのでした。


「これだったら直接言った方が早いんじゃないの?」

 芹先輩が呆れたように言いましたけど、確かにそうですよね。といいますか出会った時にお姉さまと呼ばれたんですけど。

「そもそもお姉さまって、私はどうすればいいのでしょう」

「さぁ」

 告白してきたわけではなく、お姉さまになってほしいとはこれいかに。


「葛城君のところは両親ともに健在だし」

「仲も悪くないはずですよね」

 首を傾げていると、純君がお茶を淹れながら私に聞いてきました。

「あれ、陽向先輩って女子中学校でしたよね」

「そうだけど」

「女子校に“お姉さま”とか無かったんですか?」

 聞かれて中学の三年間を振り返ってみましたが、一度も呼ばれたことはなかったと思います。

「他の生徒は知りませんけど、ほら、私は和香の王子様ごっこにつきあっていたので。どちらかというと姫様とか呼ばれていたような……黒歴史が」

 あぁ、つい言っちゃいました。

 自分ではあんまり言いたくないんですが。

「そういえば以前そんなこと言ってたね。お姫様か。ふむふむ」

「いえ、あの。恥ずかしいので内密に……」

 ファイルで顔を隠していると、芹先輩がとんでもないことを言いました。

「陽向ちゃんの通っていた中学って、生徒会がマントを付けて歩くところだよね」

「……な、なんでそれを」

 いつから始まったのかは定かではないのですが、私の通っていた女子中学の生徒会役員は常にマントを付けて校内を歩いていました。

 ちなみに二種類のマントがあって、短い腰のあたりまでのマントが通常でくるぶし辺りまでの長さのマントは行事などで付けていました。

 私は生徒会に入っていなかったのでマントをつけたことはありませんよ? ただ、和香が役員にいたのでマントを付けていましたね。

 あまりの似合いっぷりと物腰に王子様と呼ばれるようになっていったわけなのですけど。

「それで陽向ちゃんがお姫様と呼ばれるようになった所以って何だったの?」

 

 芹先輩、そこ聞いちゃいますか。



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