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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第二百八話 猪突盲進!



「先ほどは失礼いたしました。ほら、葛城も頭を下げて」

「え、えー? 僕、悪いことしてないってば」

 あ、そういえば。まったりしすぎて、まだ手紙を読んでいませんでした。

「ところで、遊子ゆうしさんは葛城君がなにをしたのか聞いたのかな?」

 芹先輩が会長席から尋ねると、今気づいたというような顔をして隣に立つ葛城君に聞き出したのです。

「なにをした?」

「だから、悪いことしてないってばぁ」

「じゃあ何で生徒会の皆さんに囲まれていたんだ?」

「そ、それはぁ」

「言えないような事か!?」

 どうやら遊子さんは猪突猛進型のようです。


「遊子さん落ち着いてね」

 芹先輩の言葉に遊子さんは姿勢を正しました。

「少々の手違いがあってね。うちの副会長宛の手紙が落とし物として預けられていたものだから」

「手紙?」

「その辺は、察してよぉ」

 葛城君がクネクネ身を捩りながら言うと、遊子さんは首を傾げて考えているようでした。

「察しろといわれても……さっぱり意味がわからない」

「委員長は考えるってことしてよ」

「これでも考えているんだけど」

 うーんと唸って遊子さんは腕組みを始め、ハッと何かに気づいたように手を叩くと「目安箱か!」と叫びました。

「……生徒会へのご意見ご要望はホームページからお願いしています」

 目安箱なんていうものは置いていません。

「あ、あの。それで、お手紙読んでいただけましたか?」

 葛城君がもじもじしつつ聞いてきましたので、まだ読んでいないことを伝えました。仕事を終えて休憩をしようとしていたところでしたから。

 今、読みましょうかと聞いても良かったのですが、先ほどのやりとりが繰り返されそうな予感があったので、返事は後日ということで納得してもらいました。

「副会長に手紙を出したのか?」

「うん、そうだよ」

「副会長に意見するとは、何を考えているんだ」

「はぁ? そんなことするわけないじゃない」

「じゃあ、何の手紙だ」

「だからそこは察してってば」

「わからんから聞いているんだ」

 永遠に繰り返されそうな二人のやりとりに少々呆れつつ、どうしたらいいのかと考えていると生徒会室のノッカーが再び鳴りました。


 修斗先輩が確認して開けると、真由ちゃんが入ってきた生徒と挨拶を交わしたので顔見知りのようですね。私も見たことがあります。確か……あぁ、剣道部の部長さんです。


「失礼します。こちらに遊子がいると聞いてきたのですが」

「あ。部長」

「あ……じゃないでしょう。来ないと思ったらこんなところに居るんだから」

「すみません、委員長としての仕事がありまして」

「だから、誤解だってば。委員長は部活に行きなよ」

 二人がやりとりしている横で、剣道部部長の今池さんが芹先輩から説明をうけていました。


「なるほど。八重!」

「は、はい。部長」

「帰るよ」

「え?」

「え、じゃない。生徒会の皆さんに迷惑がかかっている」


 ようやく休憩できそうで、皆がホッとしていました。



猪突猛進の猛進を「盲信」とひっかけましてタイトルになっております。

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