第二百七話 勇者?
「あの、ところで。もしかしてなんですけど、葛城春奈さんと何か関係がありますか?」
葛城君はコクンと頷いて説明をしてくれました。
「えーと、僕の父と春奈の母が兄弟です」
なるほど、葛城春奈さんの母方の従兄弟ですね。晃先輩は父方の従兄弟となります。
確認を終えたところで、葛城君に聞きました。
「今、読んだ方が良いでしょうか」
「えっ、えーと。目の前で読まれると恥ずかしいっていうか……」
まぁ、そうですよね。仕方ありません、後で読んでから……。
「で、でもぉ。今、せっかくお会いできたのでぇ。返事をいただけたら嬉しいかなぁって思ったりー」
そうですか、それじゃ読みますか。
封を切ろうとすると、葛城君は慌てて止めました。
「待ってください、やっぱり恥ずかしいです」
「はぁ」
困っていると学園の方から誰かが走ってくるのが見えました。
「かーつらーぎ───!!!」
「うぇっ?」
葛城君の側まで来ると、その生徒はいきなり葛城君の襟を掴みました。
「規律守れって何回言ったらわかるんだ、ああ!?」
えーと。勘違いされると困るので説明しますが、今、葛城君を威嚇しているのは女生徒です。
ポカンとしている私たちに気づいた女生徒が、キリリとした目を見開いたかと思ったら、いきなり頭を下げました。
「申し訳ありませ──ん!!」
「は?」
「うちの葛城がご迷惑をおかけしたのでは?」
「うちの?」
「はい! 私、一年五組の委員長をしております遊子八重といいます」
とっても早口で言ったもので、全員がたぶん聞き間違えたと思います。
「勇者?え?」
「いえ、ゆ・う・し・や・えです」
ゆうし、やえさんと言うのですね。
直角に頭を下げたのですが、葛城君の襟を持ったままだったので、引っ張られて首が締まっていました。グエッって声が聞こえましたよ。大丈夫ですか。
「ホームルームが始まりますので、謝罪は後ほどさせていただきたいと思います。それでは失礼いたします」
葛城君の腕を掴んだかと思うと、来たときと同じように走って行ってしまいました。
「……えーと」
「確か、剣道部の子だと思う」
学園祭準備の時に剣道部の部室に行ったことがある真由ちゃんがどうやら見たことがあるようでした。
「へえ」
小さくなっていく二人の背中を見送っていると、芹先輩がパンと手を叩きました。
「さ、片づけを再開」
「「「「「「はい!」」」」」」
テントの片づけを終えてから生徒会室に戻り、休憩をしていると生徒会室のノッカーが鳴りまして、修斗先輩が確認してからドアを開けると先ほどの遊子さんで、葛城君を伴っていました。




