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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第二百五話 落とし物



 全員がゴールするまで待つのが本当なのですが、大庭さんと芹先輩に笑顔で有無を言えない状況を作られまして、篠田先生が苦笑して代わりに居てくれることになったのですが、お礼を言っている途中で大庭さんに連れられてテントへ戻りまして簡易ベッドへと座らされました。

「そんなに疲れていませんって、大庭さん」

「さ、お飲みください」

 コップを渡されて水分を補給しました。

 お昼ご飯を食べていなかったので、お弁当を食べていると康君がお茶を淹れてくれました。

「ありがとう、康君」

「いえ。陽向先輩大丈夫ですか?」

「疲れた顔をしてる?」

「はい」

 即答されるくらい疲れた顔をしているようです。

 本人はそんなに疲れた感じはないんですけどね。

 ただ、お腹は空いていてお弁当を綺麗に食べ終えました。

 さらに放送部からの差し入れ返しにもらったメロンパンを食べていると、睡魔が……。

 あれれ。


 目が覚めるとすでに二種目終わっていました。


 白組と紅組のポイントを見つつ、怪我人が今のところ軽傷の人しかいないことにホッとしました。

 一応確認に行きますと、鼻に絆創膏を貼っていました。

「ゴールをした時に勢い余って転んだんだけど、手をついたので鼻をすりむいただけで済んだんだ。え? 手? 手袋つけてたから無傷だけど」

 地面についたという両手を見せてくれましたが、確かに怪我はありませんでした。

「無理はしないようにしてくださいね」

 心配をしていうと、何故かその男子生徒は顔を赤くしました。

「手の方も痛くなったら我慢しないで見てもらってください」

「は、はい」

 勢いよく地面についたんですから、後から痛くなる可能性もあります。

 確認を終えた後に救護班に差し入れをして、生徒会のテントに戻ってきました。

 落とし物なども届いたりして、透明な袋に入れて拾った場所などを書いたシールを貼っていると、一年生の女の子が手紙を持ってきました。

「あの、これ落ちてたんですけど」

 受け取って裏を見てみましたが差出人の名前もなく、表にも名前がありません。

「これ、どうしましょう」

「んー、開けるのもねぇ……」

 ともかく袋に入れて箱にしまったのですが、他の落とし物がどんどん受け取られて行く中、手紙だけが箱の底に残るという状態になっています。

「これ、持ち主出てこないんじゃないですかね」

「そうだねえ。せめて宛名が書いてあればね。届けてあげられたんだけど」

 康君が箱をのぞき込んで手紙を持ち上げました。

「あれ、これ。何か入ってますよ」

「え?」

 触ってみると確かに紙とは違う何かが入っています。

「ま、まさかカミソリ……」

「いや、そこまで固いものじゃないですけど」

「なんだろこれ」

 皆で首を傾げますが、開けられないので答えが出ません。

 

 ともかく体育祭が終わるまでは箱に入っていることになったのです。



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