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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第百九十七話 職員室

先生達を忘れていたわけじゃありませんよ、ええ忘れていませんってば!



 お昼休みに入って、食堂へ行く前に職員室へと行きました。丁度後藤田先生が食事に出るところだったので、ギリギリ間に合いましたね。

「後藤田先生!」

「おお、水崎」

「これ、食べてください」

 実は朝、生徒会室を早めに出てカフェに行ってきたんです。この時期だけ出しているパンプキンプリンを買って持ち帰りの箱に入れてもらいました。

「ぷ、プリン!」

「先生、ありがとうございました。ご心配をおかけしましたが、終わりましたので」

「………………そう、そうか……ん? 何がありがとうなんだ?」

「願掛けをしていたと、蓮見先生から教えていただきました」

「は、蓮見が先生が!? い、いや、そのこれはあの、ダイエットのためにだな……」

「甘味解禁です、後藤田先生。でも、食べ過ぎないでくださいね」

 箱を渡すと後藤田先生の手が震えていました。

「先生?」

「うん……良かった。げ、元気で良かった」

「……限定プリンですよ後藤田先生」

 先生は自分の席に座ると付属のスプーンでプリンを一口食べました。

「うん、うん。うまい……良かった」

 どうやら近くの席の先生たちだけでなく、他の先生たちも後藤田先生の甘味絶ちを知っていたらしく、何故か拍手が起こりました。

 隣の席の先生曰く、後藤田先生の甘いもの好きは全職員、校長先生どころか理事長まで知っているそうで、その後藤田先生が甘いものを絶っている! と騒ぎになっていたそうです。

 そして、そのお陰というか後藤田先生の株が上がったのだとか。

「まさかそこまで生徒思いだったとはなあ」

 まぁ、普段から仕事を生徒会に投げっぱなしで甘味を買いに行くくらいですからね。 

 後藤田先生が半泣きでプリンを食べている様子を先生たちと見ていると声がかかりました。

「あれ? 水崎」

 振り返ると篠田先生がファイルを抱えながらこちらへ来るのが見えます。

「あ、篠田先生」

「何で後藤田先生泣いてるんだ?」

「プリンを食べたからです」

「あぁ……そうか」

 どうやら願掛けは周知の事実だったようです。

 先生たちの机の引き出しから、飴やチョコレートが後藤田先生に差し入れされました。

 噂を聞きつけて校長先生がやってきまして、誕生日の時のようにホールでケーキを差し入れされました。

 急いで近くの洋菓子店に行ってきたそうです。

 校長先生にまで「良かった」と言われて、先生たちも私の境遇を知っていた事を今更知りまして。

 改めて有り難うございましたと頭を下げました。

 篠田先生にも有り難うございましたと告げると、まぶしい笑顔を向けられまして、近くを通って偶然その笑顔をみた生徒──男子も含む──たちがその場に固まるという状況を引き起こしたりしたのでした。


 皆さん、大丈夫ですか?



陽向、動じずw

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