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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第百九十五話 時計



 部屋に戻ってベッドに入る前に明日の準備をしていました。

 もう少しで体育祭です。

 準備も大詰めに来ています。

 

 純君と康君の話では今年も応援団は格好いいらしいです。

 二人の団長姿も今年で見納めですよね。

 皆さんの写真撮影がとんでもないことになりそうなので、風紀委員にお願いをしておいた方が良いかもしれません。

 明日、芹先輩に話しておくとしまして後は種目の順番が決定されればほぼ準備は終わったも同然です。

 毎年同じにならないように気を付けて考えているみたいで、応援団が中間に入ったために色々難しくはなっているようです。

 応援団は昨年はお試しのところもあったので、今年はさらに大変ですね。

 生徒たちの期待が大きいのですから。


 ため息をついていると大庭さんがホットミルクを持て来てくれました。


「お疲れになりましたか?」

「大丈夫です」

「明日は、いつも通りの時間でよろしいですか?」

「はい」

 たまに起こされないと目を覚まさない時があるんです。

 前よりは無くなって来ているとはいえ遅刻したくありませんし、明日は奈津子さんも一緒ですから迷惑をかけられません。

 飲み終わってから、寝る準備をしてベッドに入るとスッと眠りにつくことができました。


 ふと目を覚ますと朝だったようで、起こしに来た大庭さんと目が合いました。

「おはようございます」

 ニッコリ笑顔で言われて時間通りに目が覚めたのだとホッとしました。

 カーテンを開けてもらっている間に身支度を整えて食堂へ行くと、奈津子さんはまだ来ていませんでした。

 先に食べてからお庭を散歩して、食堂へ戻ってくると奈津子さんが朝ごはんを食べていました。

「相変わらず早いのね、陽向さんは」

「朝の散歩を続けたいから」

「一緒に散歩しようと思って目覚まし時計をセットしたのに、いつの間にか止めちゃってるのよ、まったく自分に呆れるわ」

「私も時々あるよ? 大庭さんに起こされてびっくりしたことあったし」

 奈津子さんが視線で大庭さんに問うたらしく、大庭さんが無言でうなずきます。

「私も。久保がドアを叩く音で目が覚めたことがあって。あの時は焦ったわ。朝ごはん食べていく時間なかったもの」

「奈津子さんでもそんなことあるの?」

「“奈津子さんでも”って、私の印象ってそんなに規則正しく見える?」

「んー? 何ていうかお嬢様のイメージというか」

「寝坊するお嬢様なんて世の中にいっぱいいるってば」

 そういって奈津子さんが笑いました。

 可笑しなイメージが私の中にあるようです。

「でも、毎日同じ時間に起きているでしょう」

「目覚まし時計のおかげで何とかね」

 色んな目覚まし時計を試した結果、奈津子さんは投げつけるタイプのにしたそうです。

「投げつける? 壁に?」

「そう。壁が傷つかないようにボードが貼ってあって、そこ目がけて投げつけるんだけど、そのお蔭なのかボールのコントロールが良くなってね」

 ボール型の目覚まし時計なんてあるんですね!

 衝撃を受けると止まるんだそうです。

 ソフトボール部か女子野球部からお誘い来なかったんですかとお聞きしたところ。

「だって寝ぼけている時だもの」

 

 なるほどと納得してしまうのは失礼でしょうか?



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