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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第百九十三話 誰が運ぶ?



 晃先輩と一緒に来た理事長が、俄然闘志を燃やしたらしく色々なスイーツを食べてはうなりつつも、次に来る時は美味しいスイーツを持って来ると言って、いきなりスケッチブックに構想を練り出しました。

 パティシエのキヤさんと会わせたら、スイーツ談義で大変なことになりそうですね。


 私は温かいパンプキンスープを飲んだ後ブランケットにくるまりながら、いつの間にかウトウトしていたらしく、妙な騒ぎで目を覚ましました。

 最初に目があったのは大庭さんで、彼女はニッコリ笑うと「寒くありませんか?」と聞いてきました。

「はい、寒くありませんけど。何の騒ぎですか」

 ふと騒ぎの方に目をやると、父と晃先輩が向かい合って何かを言い合っています。

 びっくりしていると、その横に止めようとしている速水君がいて私と目が合いました。

「……えーと。お父さん、晃先輩?」

 私の声に、二人が一瞬固まった後こちらを見ます。

「何やってるんです?」

 いつの間にか隣に座っていた奈津子さんがクスリと笑って私の肩から落ちそうになっているブランケットをかけ直してくれました。

「本末転倒とはこのことね」

「え? 何があったの?」

「うたた寝している陽向さんをどちらが運ぶか……だそうよ」

 最初は小声で話していたのに、ヒートアップして大声になったそうです。

 起こしてくれれば良いのに。

「えーと、仮に運ぶとしたら大庭さんだと思うけど」

 私の声に父と晃先輩が驚いた表情をしました。

 まぁ、一見普通の女性に見える大庭さんが私を軽々と持ち上げられるとは思いませんものね。

 大庭さんを見ると私を運ばなかった理由を教えてくれました。

「先ほどのままお部屋に運んだ場合、目を覚ましたときにガッカリなされるかと思いまして」

 その通りです。

 何で起こしてくれなかったのかと言ったと思います。

「そろそろ気温が下がってまいりましたので、皆様室内へどうぞ。ご案内いたします」

 キヤさんが場の空気を読んで言ってくれたので、私たちはテラスから移動することになりました。

 その時に自分で歩こうとイスから立ち上がろうとしましたら、大庭さんがブランケットごと私を抱え上げました。

「大庭さん!?」

「ふふふ、お嬢様をお運びする役目は譲りませんよ」

 何で張り合ってるんですか!

 歩けますって!

 大庭さんに抱えられたまま父の方を見ると笑っていたのでホッとしましたけど……あ、もしかして大庭さん態とですか?

 

 室内に入ったのでブランケットは一旦脱いで大庭さんに持ってもらったのですが、イスに座ってすぐに膝にかけられました。

 後で聞いたところでは二人が言い合いをしている横で、呆れていた龍矢さんが段々とウズウズし出していて、今にも参戦しそうだったとか。

 

 華さん、けしかけようとか思っていませんでしたよね?



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