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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第百九十二話 ニコニコ軍団


 モグモグと口を動かして咀嚼している最中ですが、何故かテラスにいる全員の視線を感じるのは何故でしょう。

 現在口に入っているのは、パンプキンパイでパンプキンシードも入っていて大変美味です。

 美味なのですが、こうも視線を感じると味がしなくなりますよ……。

「いかがですか? パティシエに……」

「よりをかけさせた……って言うんですよね」

「はい。かなりプレッシャーをかけまして」

「……キヤさん。過度なプレッシャーは悲劇を産みかねませんよ」

「おや、お口にあいませんでしたか?」

「いえ、大変おいしゅうございます」

 ここまで言うと、何故か周りから“おおぉ~”という声が聞こえます。

「トルティーヤなどいかがですか?」

「他にも食べたいので、半分でも良いですか」

「はい、もちろんでございますよ」

 キヤさんが大庭さんに向かって頷くと、大庭さんがトルティーヤを半分に切ってお皿に載せ、持ってきてくれます。

 端っこがパリパリして美味しいです。

「こちらのチーズスティックはどうですか? 食べやすいと思いますよ」

 チーズケーキを細長くしたようなお菓子です。

 モグモグと食べていると、また視線が集まっているようでした。

「紅茶をおかわりなさいますか? コーヒーにしますか?」

「紅茶でお願いします」

 キヤさんが淹れてくれるアイスティーは美味しいと言う前に淹れ方が楽しいのです。

  熱い紅茶を氷がたくさん入ったコップに注ぐのですが、茶こしの遙か上から注ぐのにまったくこぼれないので思わず拍手をしてしまうんです。

 カフェラテにするとラテアートをしてくれますし、本当に器用ですよねぇ。


 隣に座る父を見るとニコニコ、反対側の隣に座る華さんを見るとニコニコ。

 華さんはこちらへ来た当初、私に抱き着いて泣いていたので今のこのニコニコを崩したくありません。

 ありませんが、そんなに見つめられると食べづらいというか。いえ、まぁ食べてますけど。

 他のテーブルにいる皆も、ニコニコしているので何も言えない状況だったりします。

 しかもキヤさんと大庭さんが次から次へと美味しい物を持ってくるものですから、お腹がかなり苦しくなってきました。


 後から来た晃先輩が「なんだこれは」と言って呆れながら、ニコニコ軍団と化した皆を見ていましたが囲まれながら食事していた私を褒めてください。

 わかってます、わかっていますが……私は皆に心配をかけたので、あまり言えないのですよ。


 晃先輩が来るまでの時間、普通を装って食べていましたが。 

 結構、大変なんですってば。 



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