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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第百八十九話 ひきよせる



「厨房を通してもらうようにお願いしてみよう」

 実は、厨房から個室へ配膳に来るためのドアがあるのです。こちらからは入れないようになってはいますが、お願いをすると二つ返事で許可をもらいました。

 ただし、お昼休みギリギリ終わる時間ならということです。そうですよね、料理中に通ったらどちらも危ないですもんね。


 芹先輩と修斗先輩が残ってくれまして、体育祭の話をしていると厨房のドアが開いて笑顔でどうぞと言われました。時計を見るとお昼休み終了まで五分を切っています。

 頷いて二人に見送られながら厨房へと足を踏み入れました。

 無事に教室に戻ることができたのですが、次の日も……さらに次の日も待ち伏せされたので、さすがに困りまして放課後に椎名君のクラスに行ってみました。


「すみません、まだ椎名君いますか?」

 教室のドアでそう尋ねると、椎名君本人がすぐにドアのところまで来てくれました。

「副会長、手紙ありがとうございました」

「いえ、こちらこそ。ところで椎名君は若尾君の婚約者を知っているかしら」

「婚約者ですか? いることは知ってますけど、名前までは……この学園にいるんですか?」

「ええ、実はそのことで若尾君に伝言を頼みたいのだけれど良いかしら」

 直接言えば良いのでしょうけど、ここへ呼んできてもらうよりは伝言の方が良いと判断してのことです。すぐに来れる場所にいるとは限りませんから。


「良いですよ」

「婚約者だという人に待ち伏せされるのですけど、意味がわからず困っていますとお伝えください」

「……待ち伏せ?」

「ええ」

 椎名君は数回瞬きをした後、何故だかため息をついて憐憫の瞳で私を見たのでした。

「副会長も色々大変ですね。手が足りなかったら、いつでも声かけてください手伝いますんで」

「あ、ありがとう」

 お礼を言って生徒会室に戻ろうとした時、大庭さんが私の腕を軽く掴んで行こうとした階段とは違う方の階段を使おうと言い出しました。

「どうしました?」

「片倉さんが、あちらから下りた方が良いと」

 片倉さんが言うのですから、何かあるのでしょう。

 言われた通りに遠い方の階段を使って下りました。

 生徒会室に着くと片倉さんが姿を現したので、どうしてなのか教えてもらったのですが、どうやら私が行こうとしていた階段から中岸さんが来ていたようなのです。

 鉢合うと面倒になるので回避してくれたようでした。

「それにしても、次から次へと色んなもんを引き寄せるな、あんたは」

 片倉さんが笑いながら言うものですから、大庭さんに関節技をかけられそうになっていました。さすがに逃げていましたけど。

「笑い事じゃありませんよ、陽向様のせいじゃないんですから」

「別に悪いことばっかりは言ってないって」

 ソファの周りをぐるぐる追いかけっこをしているので、少々目が回りそうになりソファに座っていると純君がお茶を淹れてくれました。

「ありがとう、純君」

「いえ、何でも言ってくださいね」

 最近どうも一年生の二人にキラキラした目で見られるんですけど、どうしたことでしょうか。

 以前は色々あって気づかなかったのですが、よくよく考えてみると学園祭のあたりからじゃなかったでしょうか。

 

 私、何かしましたっけ?


小話の方もアップしております、よろしければどうぞ^^

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