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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第百八十七話 今日もお休み



 新しく処方された鉄分の薬が合わないようで具合が悪くなってしまい、せっかく登校できるかと思っていた今日もお休みです。

 泣きたくなりました。


 やはりお手紙を託しておいて正解でしたね。


 食事ができずに寝ていると額に手の感触がして目を覚ましました。

「起こしてしまったか」

「晃先輩?」

「具合が悪くなったと聞いた」

 小さく頷くと額から手が離れて、晃先輩は椅子に座りました。

「オルゴール、有り難うございます」

「あぁ。イヤホンで聞くものは除外して考えなくてはならないからな。結局オルゴールしか思い浮かばなかった」

 イヤホンをすると眠れなくなるタイプなので助かります。でも晃先輩に言ったことないと思うんですけど。

「イヤホンだめなこと晃先輩に言ったことありましたっけ?」

「いや、学さんに聞いた」

 なるほど。

 起きている時は平気なんですが、眠ろうとする時にイヤホンをつけると眠れないんですよね、何故か。


「まだ起きあがれないか?」

「いえ、朝よりは大分良くなりました」

「そうか。食べれるなら何か食べた方が良い」

 朝は点滴を断って、お昼と夜のご飯を食べれないようならという事になっています。

 

 大庭さんがお茶を淹れてくれたので、晃先輩と一緒に飲んだのですが吐き気も無く飲めたので、後でご飯を食べてみても大丈夫そうです。


「無理はするなよ?」

「はい。いつもお見舞いありがとうございます」

「無理して笑わなくていい。ゆっくり休め」

 ポンと肩を叩いて晃先輩は部屋を出ていきました。

「優しい先輩ですね」

 大庭さんがニコニコしながら茶器を片づけながら言って、私に新たにお茶を淹れてくれました。

「とっても優しい先輩です」

 淹れてもらったお茶を飲んでいると小さくドアをノックする音がして、答える前に開きました。

「ちょっと待てって、返事が来る前に開けたらダメだろ」

 あれ? 速水君の声です。

「良いの良いの、さっき和泉先輩が出て来たんだから大丈夫」

 奈津子さんと速水君が部屋へと入ってきました。

「今、廊下で和泉先輩と会ったの」

「和泉先輩がいるとは思わなかったから焦った」

 私たちが一年生の時の風紀委員長ですもんね。

「あ、速水君。お菓子ありがとう」

「え。あぁ、生徒会と連名だけど…」

「とても嬉しかった」

「うん、喜んでもらえてよかった」

 籠にはまだお菓子がいっぱい入っています。

「何よ何よ、二人で見つめあっちゃってー」

 何故か奈津子さんが二人の間に割り込んで来て、私に抱きつきました。

「奈津子さん?」

「会えなくて寂しいのは私もなんだから」

「うん」

 週末には皆を呼んでお茶会しましょうと言われて、何だか元気が出てきました。

「何か食べたいものがあったらリクエスト頂戴ね」

「お菓子?」

「んー。何でもいいわ」

「考えておくね」

 

 皆とゆっくりお話しできるのは久しぶりですね、楽しみです。



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