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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第百八十一話 チーズの気分?


 ホットレモンを飲んでいると、和香を連れた奈津子さんが帰ってきました。

 奈津子さんは制服を着ていましたが、和香は一旦自宅に帰って着替えてきたらしく私服です。

「お帰り」

「ただいまー…ってあれ」

 晃先輩がいるのに気づいて奈津子さんは少し驚いたようでした。

「こんにちは、和泉先輩」

「あぁ。悪いな、勝手に邪魔している」

「いえいえ、陽向さんを運んでいただきまして、ありがとうございました」

 ううう、お姫様だっこ思い出してしまったじゃないですか。

 恥ずかしい……。

「和香、久しぶりね」

「うん、陽向は……すっかりやつれちゃって」

 やはり皆さんにやつれて見えるようです。

 本人的にはそうでもないんですけどね。

「陽向」

「ん? どうしたの和香」

 和香は駆け寄ってくると私をギュッと苦しいくらいに抱きしめました。

「わ、和香?」

「陽向ぁ」

 そして泣き出したのです。

「ごめんねぇ、陽向ぁ」

「和香? どうしたの?」

「陽向が辛い時に、何もできなかった!」

「和香……」

 私は普段寮にいますし、他校に通っている和香が駆けつけてくるには時間がかかります。心配してくれているだけでも、十分ですのに。

「和香、ありがとう。私は大丈夫よ心配しないで」

「……陽向さん、現在の容姿で心配するなというのが無理な話よ」

「……そんなにやつれてる?」

「……自分だと気づきにくいものなのね。かなりげっそりよ」

 鏡を見ても自分だと、少し痩せたかなと思うくらいなんですよ。

「ささ、陽向様。お召し上がりください」

 目の前にケーキが乗ったお皿を渡されます。

 食べますよ、食べますけども。

 何で三切れも乗ってるんです?

「こちらがレアチーズケーキ、真ん中がチーズケーキ、こちらはチーズスフレでございます」

 しかも三つともチーズケーキですし。

「陽向様がチーズケーキがお好きだということで、腕によりをかけさせ……ゴホン……かけてパティシエが作りました」

 何故に無理やりっぽさを出すんですか、後でパティシエの方にお礼とお詫びを言わなくてはなりませんね。

 お皿を受け取って、ケーキ用のフォークを二つもらいました。

「和香もチーズケーキ好きよね? 一緒に食べましょう」

「う、うん」

 まだ涙をこぼしている和香にハンカチを渡して、キヤさんに目元を冷やすものを頼みます。

「ちなみにチーズタルトもございます」

 さすがにチーズが続くと辛いものが……。

「木柳屋」

「はい、奈津子様」

「チーズにもほどがあるわ!!」

「ははぁっ」

 ビシィッと音がしそうな勢いで頭を下げたキヤさん。


 どうやら、ツッコミ待ちだったようです。



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