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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第百五十七話 学園祭です(2)



 私たちの前にあるAポイントには確か、シャモジに扮した生徒がいるはずです。ツクモガミらしいのですが、ただの大きいシャモジです。

 動きが可愛いので全然怖くないと全員の意見が一致しまして入り口に配置されました。

 ちらちらとペンライトの灯りが近づいてきましたので、私たちはそれぞれの配置に付きました。

 向かい合って、私は手に蜘蛛の巣みたいなアイテムを持っています。ほら、投げると白いものが広がるあれです。雪に見立ててってことなんでしょうけど、結構絡まるんですよね。練習しましたけど、最後まで絡まりました。投げ方が悪いのでしょうか。

 お客さんが通る寸前にそれを速水君に投げるのですよ。ドラキュラ対雪女。どんなカードですか。

 はっきり言ってお笑いパートですよね、これ。

 早良君が私たちの前に立ったのが分かりました。

 それぞれお化けをうすぼんやりと見せるライトがついていますし、早良君自身が自分の顔を照らしたからです。

 笑顔というよりは皮肉気な笑いを見せて立っています。

 すみません、でもこの後怖くなるらしいので通り過ぎていただければと思います。

 一応例の白い蜘蛛の巣を速水君に投げましたが、案の定絡まりました。あわてて解こうとしていると早良君がすぐ側に来ていたので驚きました。


「陽向ちゃんは不器用だね?」


 ゾクッとしました。

 だって早良君は私を“陽向ちゃん”なんて呼びません。それによくよく考えると早良君らしくない笑い方でした。

「あなた……誰?」

「何言ってるの、風紀委員の早良だよ」

「早良君は……私をそんな風に呼ばないわ」

 ソロソロと速水君の方へと移動しようとすると腕を捕まれそうになりました。

 慌てて避けて絡まりつつあった蜘蛛の巣もどきを何とか指から外して投げつけました。

「陽向ちゃん!?」

 さすがに可笑しいと思った速水君が持っていた杖を早良君に投げつけます。

 それを軽々と避けて、早良君……いえ偽早良君はニヤリと笑いました。

「速水君!」

「陽向ちゃん」

 速水君が私を後ろにかばうようにして隠してくれた時、片倉さんが速水君の前に現れました。

「へぇ、まさかお前だったとはね」

 片倉さんの言葉に偽早良君が顔をしかめたのが分かりました。

「お知り合いですか」

「元の仲間だったやつだ」

 顔が違うのに? と思っていたら耳でわかったのこと。なるほど、かなりの福耳です。今は片倉さんが照らす灯りでわかりましたが、暗がりではそこまでわかりませんでしたね。

「久しぶりだな、片倉」

「ふん、無駄口叩いてる暇があるのか? ここはすぐに囲まれるぞ」

「ちっ」


 舌打ちをして偽早良君が逃げて行きました。



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