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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第百五十六話 学園祭です(1)


 厳戒態勢の中、大門が開きました。

 走らないでくださいというアナウンスが今年も聞こえましたよ。


 雪女の格好でテントの中にいると、写真を撮らせてくださいと何組かに言われましたがすべてお断りしました。

 父と華さんに写真を送りましたが、父から未だにメールが来ませんね。

 華さんからは似合っているというメールが来ました。

 電話をして聞いてみたのですが、何故か落ち込んでいるとのこと。

「学園祭に見に行けないことが悔しいみたいよ」

 華さんが笑いながらそう言って、相変わらず隅っこで体育座りをしている父の背中の写真が添付されていました。

 

 なるべく奥にいるようにと言われたので、タブレットで確認しつつ衝立の後ろで仕事をしていました。


「陽向ちゃん」

「あ、速水君」

 速水君もお化け屋敷のために衣装を着ているのですが、何故かドラキュラでした。

「お化け屋敷っていうよりハロウィンだよね、これ」

 速水君の言うとおり、クラスメイトは和洋中さまざまなお化け妖怪の姿をしているので、もはやハロウィンです。

 籠を持って歩いたらお菓子がもらえそうな感じです。

「何でも緩急つけるためなんだって聞いたけど」

 そうなんです。入り口付近はお化けと言っても可愛いものが多いのに、出口付近にゾンビとか配置しているらしいんですよ。

 一度テストで通ってみてと言われましたが、明るいところでも怖い特殊メイクにお断りしました。

「誰か斧持ってたし」

 それは私も見ました。

 発泡スチロールのような素材に、光る銀色の紙を貼っているのですが。

 凝り過ぎて強度は無いのに本物みたいになってしまい、先生から直すように指示が出てましたね。


 早良君もやってきて、何故か視線が泳いでいましたけど三人で教室へと向かいました。

 早良君は違う組ですが、お化け屋敷に興味津々でした。


 入り口には頭に葉っぱを乗せた狸の着ぐるみをきた生徒が立っていて、ペンライトを配っています。

 真ん中あたりに蓄光のテープが貼ってあって、暗闇で落としても見つけられるようにしてありました。

 「あ、速水君、水崎さん。Bポイントについて」

 私を一人にしないように言われているのか、速水君とペアでした。

 ドラキュラと雪女で怖くなります?

「Bポイントなら、ホラーの手前だから良いんじゃないかな?」

 早良君がすぐに入ってくるそうなのでスタンバイしていると、その前にカップルが通って行きました。

 仲睦まじく歩いて行ったのは良いのですが、奥へ進んでいくと男性の悲鳴が聞こえて叫ぶ女性の声から推測するに、女性を置き去りで男性が先に飛び出して行ったようでした。

「相当怖そうね」

「早良、一人で大丈夫かな」


 その時、足音とペンライトの明かりが見えてきたので、私たちは口を閉じたのでした。

 


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