第百五十五話 白か黒だと思ってました
昼食と夕食をそのままそこで食べまして。
十一時を回った頃、ようやく寮に戻ることになりました。
ただ、体育館の方でぼや騒ぎがあったそうで何となく騒がしい感じがしました。
片倉さんは出口まで送ってくれたものの、外へ出ると風紀委員の生徒が五名待っていて、寮まで送ってくれたのはその五名でした。
それから数日間。特に何も起こらない平和な日々が続きまして。学園祭の準備も進んで行き、忙しくあわただしい日々を送っておりました。
時々寮の窓に片倉さんが顔を出す以外は、至って普通の日常です。
今年の私のクラスはお化け屋敷になったので、窓に遮光カーテンを貼り付けたりとだんだん暗くなっていく教室で授業を受けるのも何とも不思議な感じでしたが。
花時の校舎を使ったお化け屋敷の話を聞いたクラスメイトが張り切ってしまいまして、当日の私の衣装は動きやすいのでお願いしたものの、猫娘にされそうだったので断固拒否をしておきました。
だってミニスカートだったんです。
動きやすい服をと注文をつけましたが、さすがにミニスカートだと見える可能性があるじゃないですか。
そこはご遠慮したいと思います。
それで、結局雪女ということになったのですが……。
「着物は動きづらいですけど」
「大丈夫、動きやすいように作るから」
多少いやな予感がしたものの、衣装部ではないのでそれ以上口を挟めずに前日となってしまいました。
試着室に入る前に渡されたのは、確かに着物でした。どちらかというと浴衣に近いのですが、白い着物で所々に雪の結晶のアップリケがついていました。
可愛いと思ったものの、着てみると大変なことに気づきました。
「あ、天海さん」
「あ、ぴったりね」
「ぴったりの前に、こ、これ」
「うん、後はこれつけてね」
青白い長髪のカツラを手渡されました。
「天海さん?」
「なに?」
「み、短すぎじゃない? この着物」
「えー? これを参考にしたんだけどなあ」
渡された紙にはミニスカと言っても良い位短い裾の着物を着た少女のイラストが描いてあります。
「小学生か良くて中学生くらいの女の子じゃないの! 私、高校生よ!」
「似合ってるよ? ねぇ、皆」
他の生徒の服の手直しをしていたクラスメイトたちが私をみて、うんうんと頷きます。
「似合っているとかじゃなくて」
「水崎さん、脚綺麗よね」
「レギンスみたいなの履かせて!!」
「「「「「「えー?」」」」」」
そこにいた全員に言われて、それならと出されたのがガーターベルトでした。
「却下!」
「「「「「「えー?」」」」」」
えー? じゃありません!!
「走ったら見えちゃうっ!」
「走る予定でもあるの?」
走らずに済むことを願いますけど。
何度もお願いをして、ようやく水色のレギンスを履くということに落ち着きました。白だと太く見えるので拒否しましたから!
「気にしなくてもいいのに」
そしてすぐに用意されたのが膝上のレギンス……。
何も履かないよりマシってことですね。
サブタイトルはレギンスのことです^^