第百十七話 芹先輩の電話
次の日、授業が終わってすぐに業者さんのところへ真由ちゃんと車で向かいました。
色々話し合ったので、遅くなりましたが見本を持って帰って来ると生徒会室にマンガ研究会の部長さんが来ていて驚きました。
「あ、水崎さんお帰り。それ見本?」
「ええ、そちらも?」
「うん、形が決まってるからね。色々やってみたよ」
その後、この模様なら違うものが良いのではないか……など話し合いをして。なんと明日までに作ってくると言われました。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫。明日で間に合う?」
「はい。間に合います」
「OK。それじゃ明日の朝」
「朝!?」
「早い方がいいでしょ?」
「それはそうですけど」
生徒会の皆と顔を合わせた後、部長さんを改めてみました。
「無理しなくてもいいよ?」
芹会長が言いましたが、色を変えるだけだからと笑って帰って行きました。
「明日の朝、データを送ることを電話しておきます」
「うん、そうだね。今日はそれが終わったら夕食に行こう」
確かにめまぐるしくて疲れましたね。
電話を終えて、全員で学食に向かいました。
今日は少しガッツリと食べたいので牛丼です。牛丼と言っても肉の厚さが半端ないです。
もぐもぐと食べていると、芹先輩に電話がかかって来ていました。
目線で私たちに許可を取って来たので全員でうなずきます。
「もしもし? ……うん。いや。……え? それは……」
少し慌てているようで修斗先輩と目で会話をしているようでした。
私たちはただ静かに食べるしかなく、会話が終わるまで待っていると芹先輩が立ち上がりました。
「ちょっと待って! 話が違う!」
思わず全員の手が止まりました。
声を荒げることなどめったにない芹先輩です。
びっくりしていると、眉にしわを寄せて吐き出すように叫びました。
「そこで待ってろ!」
夕食もそこそこに芹先輩は生徒会専用個室から飛び出して行きました。修斗先輩もそれについて飛び出して行きます。
珍しく説明もなく、居なくなった先輩たちにポカンとしてしまい、結局冷めたご飯を食べることになったのですが。
あんな風に叫んだ芹先輩は初めて見ました。
何があったのでしょう。
「どうする?」
真琴が私に聞いてきました。
三年生の先輩が急にいなくなったので、一年生の二人も不安そうにしています。
「食事を終えたら寮にもどろうか。明日もし先輩たちが来なかったら、データ送信してから連絡して……」
留守電かメールで知らせるしかありませんよね。
明日、会えると良いのですけど。
食事を終えてから、一応連絡してみましたが電源を切っているようで繋がりませんでした。
心配ですね。
芹先輩の事を知っているとなると……静先輩でしょうか。
連絡をしてみましたが、こちらも繋がりません。
思い切って晃先輩にもかけてみましたが、これまたつながらず。
結局つながったのは貴雅先輩でした。
「僕が最後ってどういうこと?」
笑いながら言っていましたが、何やら後ろが賑やかで「今、話しても大丈夫ですか?」と聞いたのですが「平気」と帰って来て、すぐに静かになりました。
貴雅先輩、今、どこにいるんです?
毎回思いますが、サブタイトル考えるのって難しいですね……!