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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第〇百十話 イベント終了ですが……



 全員が再びカフェに集合しました。

 

 時間がなかったので、ざっと聞いたところ時間トリックだったようです。

 つまりは推定時刻よりも前だった……という事ですね。


 その時間帯にアリバイがない人を見つけるためにカフェに集合したようでした。

 

 一人一人、目撃者の証言と照らし合わせながらアリバイを聞いて行きます。

 その中から犯行が可能であった人はと言いますと。

 

 奈津子さん、速水君そして私です。

 今回も容疑者から抜け出せない私です……。


 速水君と奈津子さんは多目的ホールで勉強をしていたはずですので、アリバイが成立するかと思いきや、読書感想文のための読書中で唯一さんはおらず、しかも速水君が席を外していた時間が数分あるとのこと。

 速水君曰く、トイレに行っていたとのことでしたが目撃者はありません。

 多目的ホールに一人いた奈津子さんにも犯行は可能。

 私も一人になった時間があるので、以下同文。


 そしてここでいよいよセリフを言う時が来ました。

「私がやりました」

 ちなみに、これは罪の告白ではなく犯人を庇うためのセリフとなります。

「違う! 僕だ!」

 速水君が慌てたように叫びます。

「いえ、私です」

「僕だ」

「光、もういいの」

「違う、陽向!」

 一応言いますけど、全部セリフですからね?

「私が信三郎さんを……」

「陽向じゃない!」

 二人で言い合っていますと、笹村さんが私たちの肩に手をそっと添えました。

「私にはお互いをかばい合っているようにしか見えません」


 そして、ここで同時のセリフです。


「「違う!!」」


 綺麗に揃いました。練習したかいがありましたね。

 速水君と笹村さんと三人で何度もタイミングを計ったんですよ。

 綺麗に決まった! と奈津子さんを見るとにやりと笑った顔を目が合いました。

 そして何故か全員からの拍手。

 何故に拍手ですか。


「陽向、役者に向いているかもよ」

「いや、速水君もなかなか……」

 どうでも良いですけど、この後どうなるんですか?

 実はこの後の私のセリフはもうないんです。 

 

 すでに皆には私たちが主催者側であることは分かっているのでしょうが、私のセリフが無いということは犯人ではないということですよね?

 となりますと、速水君か奈津子さんということになります。

 

 そして判明する犯人と動機。


 何と、速水君は未遂だったのでした。

 そしてその後、元々計画していた奈津子さんが速水君が逃げて行った後、完遂してトリックをしかけ、ばれそうになったら速水君に罪を被ってもらおうとしていた……というシナリオでした。


「動機? 婚約者のことかしら」

 後からやってきた信三郎さんも、それを聞いて苦笑していました。

 

 これにてイベントは終了となりましたが、やはり参加しないと楽しくないです。

 奈津子さんも最初から全部教えてくれれば良かったですのに。

「え、でも教えちゃったら、もっとつまらなくなったでしょう?」

 それは、そうかもしれませんけど。

 

「あの……ところで奈津子さん」

「ん?」

「信三郎さんでも良いんですけど、あの……皆さんの後ろにいる方、誰ですか?」


 皆さんの後ろに、今日の今日まで見たことのない大人の男性が当たり前の様に立っていました。


 全員が振り返りました。


 時々寄港していましたが、誰かが乗ったという話は聞いていません。

 知らされていなかっただけなのかもしれませんが、私と目が合うとウィンクをしたので気になったのでした。


「え? どこ?」

 真琴が言うので、後ろを指さそうとしましたら誰もいません。

「え? 今、そこに……」

 いた……はずでした。奈津子さんの方に視線をやった少しの間にいなくなったと?

 隠れる場所はありません。

 笹村さんに視線を移して首を傾げてみると、笹村さんは不思議そうに首を横に振りました。

 笹村さんもわからない……と?


 え? それじゃ今の誰です?

 

 まさか、幽霊じゃないですよね? この船新しいんでしたよね!?

 

 だ、だれか違うと言ってください!


 

次回で船の旅は終わります^^;

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