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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第〇百七話 犯人はだれ?



 カフェに戻った私たちはジムの前にいた人たちの証言を聞くこととなりました。

 最初に気づいたのは鷹野さんという設定です。信三郎さんがジムにいるはずなのに鍵がかかっているのを不信に思い、ブラインドの隙間からのぞいてみると倒れている信三郎さんを発見。ドアノブを動かそうとしましたが鍵がかかっている様子なので、すぐに笹村さんとジムのトレーナーの吉田さんに連絡を入れ、先に到着した笹村さんがドアをガチャガチャやっているところに吉田さんが鍵を持って登場したという流れです。

 その間に怪しい人物を見なかったか、他の乗員乗客を見なかったかの質問をして、わかりやすいようにカフェにホワイトボードを運び入れ、時間軸にそって証言をした人の行動を奈津子さんが色を付けて書き入れて行きました。

 その後は三十分の自由時間です。他の人の証言を聞きに行ったり、もう一度現場を見に行くことができるそうです。

 私と速水君はさっそく現場に行ってみましたが、さすがに信三郎さんは横たわっていませんでした。代わりにロープの様なもので人型がつくられています。

「後ろからよね? そうすると……この角度だと右利きの人かしら」

 未だ凶器は判明していませんが、右側の後頭部に血糊がついていました。

 自由時間の後は船医の方の検死結果を発表されます。

 イベントなのに何だかドキドキしてきますね。


 死亡推定時刻は十一時から十二時の間。

 体の前に倒れた時以外の損傷は特に見あたらないので、やはり後ろから襲われたと判断されました。

 容疑者は乗客全員。あ、親戚の陣海さんは除かれます。参加していませんから。

 乗員も容疑者に加えると時間がかかるとのことで、乗客に絞られていて乗員の方は必ず二人で行動していた……という事にしてあるそうです。

 こうなりますと、アリバイの確認となりますよね。

 乗員の方の証言と併せてアリバイを確認しますと、奈津子さんと速水君は宿題を多目的ホールでやっていた。真琴と真由ちゃんは私と美奈さんと一緒にショップやデッキなどで一緒に行動していました。

 早良君はバトラーの長谷川さんにダーツを教わっていたとのこと。

 久保さんは多目的ホールの側にある乗員の控え室にいたところを複数の乗員に目撃されていて、唯一さんは多目的ホールを出たところで乗員の方に会い、私たちの居場所を聞いてそのままデッキへ。

 時間的におかしなところはないと証明されたところで全員にアリバイがあることがわかってしまいました。

 そこで、もっと詳しいアリバイを調べることになりまして。色々と話をしていくうちにだんだん雲行きが怪しくなってきました。


 一人で行動した時間は、皆さん数分です。その場所から推定するに、犯行は無理な時間でした。

 

「ちょっと待って。お昼前に陽向は客室に一度戻ってたよね」

「でも笹村さんも一緒だったんじゃ?」


 そこで笹村さんがにっこり微笑んで首を横に振りました。

「途中で私だけが奈津子様と速水様にお声をかけに参りました」


 実際はきちんと笹村さんと行動していたのですよ?

 イベント内の設定ではそういうことになっているのでしょう。


 あれ? 待って待って……。

 笹村さんがそう証言してしまうと。

 アリバイがないのは私だけになりますよ。


 えっ……犯人、私!?



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