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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第〇百六話 イベント開始です



 全員集合と言われているのに、信三郎さんがいないことに気づいた数名がそろそろ言い出しそうな予感でした。


 カフェに集まった人たちがランチを終えた頃、奈津子さんがイスから立ち上がって手を挙げました。

「皆さん注目ー! ただいまからイベントを始めたいと思います」

 予定通りバトラーの皆さんが、奈津子さんの用意した紙を渡して行きます。

 その紙にはある程度の設定と、注意点など色々書かれているのですが、奈津子さんが先にペアを組む人の名前を発表していきました。

まず、奈津子さんと久保さん、それから私と速水君。奈美さんと早良君、真琴と真由ちゃんと陣海唯一さんとなっています。

 奈美さんの親戚の方は? そういえば陣海ですとしか聞いていませんでしたけど。

「何かお仕事があるようで、三階にいるわ」

 四階といえば、パソコンが何台も置いてある部屋があるところですね。きっと。

「デジカメ全員に行き渡りました? それでは、さっそく始めましょう」

 奈津子さんが言うと、バトラーの鷹野さんがカフェに飛び込んで来ました。


「な、奈津子様。大変です。御前が!」

 迫真の演技ですね。

 ちょっとドキッとしてしまいました。

「どうしました?」

「集合時間にいらっしゃらないので、手分けして探したところジムにいることが確認されました」

「それで?」

「ですが、入れないのです」

「入れない?」

 そうなんです、ジムは現在鍵がかけられている状況となっています。窓のブラインドはすべておろされていて中が見づらくなっています。

「ドアのブラインドの隙間から、御前様が倒れていらっしゃるのが見えるのに、鍵がかかって入れないのです」

 もちろん態と見えるようにブラインドを少し横にずらしてあります。実際だと、多分その時点でドアが破られますよね。すぐにジムの鍵で開けるという手もあります。

 イベントですので、全員でジムへと向かいました。

 

 笹村さんがジムのドアをがちゃがちゃとやっているところが目に入ります。

 そこへジムのトレーナー兼管理者の吉田さんがジムの鍵を持って走ってきました。

 その鍵を使ってジムの中へと入りますと、床に信三郎さんがうつ伏せの状態で倒れていました。ご丁寧に頭のあたりに血糊がつけられているのが目に入りました。

 私たちがカフェに行っている間にやったのでしょう。

「後頭部への打撃が致命傷といったところかしら」

 奈津子さんの台詞にうつ伏せの信三郎さんの口からクスッと笑い声が聞こえました。

「お祖父さま、笑ってはダメですよ」

 小声で言ってますが全部聞こえてますからね?


「それでは写真を五枚撮ってください。終わったらカフェに戻って証言を聞きたいと思います」

 信三郎さんを撮る人や、その周りやドアを撮る人などそれぞれの行動をみつつ、私は一枚だけ指定された箇所を写しました。それ以外は自由に撮って構わないと奈津子さんに言われています。

「陽向ちゃん、そこ撮るの? こっちの方が良くない? あと一枚だし」

 速水君が私の腕を引いて言いましたが、指定されているので最後の一枚を撮りました。ちなみに私の首にかけておくように言われています。

 そういえば写真を撮るのを指定されたのは私でしたね、後で速水君に説明しましょう。

「五枚撮れましたね、それでは確認します」

 ジムに他の出口がないか、シャワールームに誰か隠れていないかなど、全員で確認していきます。

 ついでにジムに凶器らしきものが見あたらないこともきちんと確認しました。

「カフェへ移動してください」

 ジムのドアが閉まる瞬間に笑い声が聞こえましたが、ここは聞こえないふりです。

 でも笑いたくなるのもわかります。

 死んだふりをせよと言われて、しかも全員顔見知りの人が自分を見ていると思ったら私でも笑ってしまいそうです。

 

 湯江信三郎密室殺人事件を解決するというイベントが幕開けしたわけですが、ジムでうつ伏せの信三郎さんはいつまであの形でいるのでしょう。


 まさかイベント終了までとかはありませんよね?



二、三時間行われるイベントなので、簡単になってます


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