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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第〇百五話 イベントまでもう少しです



 私の役目はヒントを出すことのようで、重要な部分で皆さんが見落としがちな部分を指摘する台詞があります。

 これ奈津子さんが考えたのでしょうか。


「速水君、台詞覚えた?」

「まぁ……短いから何とか」

 私たちも参加者を装うので、不自然になりすぎないように気をつけなければいけません。

 何となくバレそうな予感もありますけどね。

 

「それじゃ、お昼に例の場所に集合ね」

 例の場所とはジムです。

 携帯で廊下に誰もいないことを笹村さんに確認してもらい、速水君が客室を出ていきました。

「五分たったら朝食を取りに行くわよ。ふふふ、楽しみね」

 お昼に全員でカフェに集合することを知らされているので、そこで今日のイベントを発表するのでしょう。

 昨日はこの集合が何を意味するのか分かっていませんでした。


「それで、台本には書かれていないけど犯人は誰なの?」

 私に渡された台本には私と速水君の台詞と流れしか書かれていないんです。しかも、最後の部分がありません。

「それは最後のお楽しみ。さ、そろそろ朝食に行きましょうか」

 

 朝食は何事もなく済んで、奈津子さんと速水君は宿題をやりに多目的ホールに行ってしまいました。

 部屋を出るときに、これ以降台本をみないように言われていたので、午後までは真琴と真由ちゃんと美奈さんと一緒にショップに行ったりゲームをしたりして過ごしました。

 あ、ちなみに。陣海さんに「美奈と呼んで欲しい」と言われましたので、美奈さんと呼ぶことになりました。自分だけ名字で呼ばれていたので、ずっと言って欲しかったとのこと。

 美奈さん……とお呼びすると、それはそれは嬉しそうに満面の笑みを見せてくれました。

「それなら僕のことはタダカズと呼んで欲しいな」

 陣海さんのお兄さんがデッキで海を見ていた私たちに、いつの間にか近づいて来ていてそう言いました。

 陣海さんのお兄さんのお名前は「陣海唯一」と書くのだそうです。

「君の唯一ゆいいつにしてくれたら嬉しいな」

「それを言ったのは、私で何人目ですか?」

「えーと」

 考える時点で相当数言ってると見えます。

 女の子皆に言ってるんじゃないですか?

「それより、奈津子さんと速水君は? まだ宿題中のはずですよね」

「あぁ、読書中。感想文のためのね」

 確かそれが最後のはずですから、夏休み中に宿題は終わりそうですね。


 ふと後ろを振り返りますと、美奈さんが呆れて様な顔をして立っていました。

「美奈さん、どうしたの?」

「いえ、注意しようとしたのですけど、陽向さんが軽くいなしてしまったので、静観中です」

 あぁ、そういえば婚姻届の書類の件もありましたものね。さすがに冗談だとは思いましたけど、そこまで用意するあたりサプライズが好きなのでしょうか。


「少し早いけど、お昼にしないかい?」

 時間を見ると、十一時五十分でした。

「ちょっと客室に行ってきます。先にカフェに行っていてください。ついでに奈津子さんと速水君にも声をかけてきますから」

 その場にいた皆さんが頷いたのを見て、私は笹村さんとデッキから船内に戻りました。

 

 たぶん、もう二人はジムに行っているでしょう。

 信三郎さんも用意しているはずです。


「何だか少しワクワクしてきました」

 一時近くなりましたら、カフェに行って昼食をとる予定ではありましたが、鷹野さんにお願いしてサンドイッチを用意してもらいました。

 これなら話し合いながら食べれますでしょう?


 普段は水分補給以外の飲食はジムでは厳禁らしいのですが、イベントのために使われるので許可をいただきました。

 ジムに着くと簡易のテーブルとイスがセッティングしてあって、三人がすでに座っていました。

 ジムがのぞける窓にはブライドがすべて下げられて見えないようにしてあります。ドアには清掃中の札。


 さぁ。もうすぐイベントの始まりです!



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