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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第〇百三話 イベントの計画です



 早朝。

 一人で体操中です。

 今朝はとても早く目が覚めてしまい、ラジオより早い時間に笹村さんの携帯をお借りして体を動かしております。もちろん笹村さんが側にいますよ。


 一緒に体操してくれています。


 ただ見られているのは結構恥ずかしいのですがと言いますと、ではご一緒にと言われて現在に至るというわけです。

 船上で体操することになるとは思いませんでした。


「なかなか気持ちが良いものですねぇ」

 

 海を見ながらの体操です、笹村さんの言うとおり普段は味わえない不思議な感じでした。

 今日は穏やかな海でキラキラしています。

 デッキに出るドアが開いて、バトラーの鷹野さんが出てきました。そして体操している私たちを見てギョットした顔をしていましたよ。

「水崎様、こちらにいらっしゃったのですか。奈津子様がお探しでしたよ」

「陽向ちゃん、いました?」

 鷹野さんの後ろから声がして速水君が出てきました。

「鷹野さん、速水君。おはようございます」

「「……おはようございます」」 

 鷹野さんと速水君は一瞬顔を見合わせた後、挨拶を返してくれました。

「奈津子さん、起きたのね」

 時間を見ると、六時半。ラジオの方では新しい朝が来たと歌が流れている頃でしょうか。

 こちらはダウンロードの音源で第二体操まで終えてしまったので少し可笑しくて笑ってしまいました。

 今頃全国で体操をしてるんだろうな……なんて。

「早朝も体操してるなら言って欲しかった」

 速水君が近づいて来て小さく呟きます。

「え、でも夕方にみんなでやることになってるでしょう、早朝のは私の勝手だし」

「明日から僕も参加していいかな」

「それはもちろん良いけど」

 何故か凄くホッとされて驚いてしまったのですが、私、速水君に何かしたでしょうか?

 わざと教えなかったわけではないのですけど。


「ところで朝早く奈津子さんが私を探しているというのは何でしょうか?」

 鷹野さんに尋ねますと、思い出したかのように左の手のひらを右の握った手でポンと叩きました。

「本日行われるイベントのお話だそうです」

「イベント?」

「速水様と一緒に来て欲しいとの事です」

 速水君も何も知らないようでしたので、とにかく客室に戻ることにしました。

 先導するのは笹村さん、一番後ろに鷹野さんで二人に挟まれて私と速水君は並んで歩きます。

 すれ違うほどの乗客がいませんから。

 まぁ、このフロアはこうして並んで歩いていてもすれ違える広さの廊下なんですけどね。

 客室に着くと、さっそくソファに座って奈津子さんは本日のイベントのスケジュールを話し出しました。

「密室事件?」

「そう、洋上の密室事件よ!」

 イベントです、イベント。

「犯人は船の中、しかも乗客乗員の中にいるのよ!」

 そういえば奈津子さんはミステリーがお好きでしたね。

 呼ばれたということは犯人役か被害者役でしょうか。

「午前は宿題のはずでは?」

「も、もちろん宿題はするわよ。午後からのイベントなの。さ、これが台本よ!」

 速水君も渡されたということは、速水君も何かしらの役があるということですね。


 大変な一日になりそうです。 



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